五条の天神・3
8月27日(水)
五条の天神・3(狗波利子・通算72回)
(前回までのあらすじ・医師、寿玄斎は深く帰依する五条の天神に、不遇を嘆いた。夢に五条の天神が現れ、嘆くには当たらないこと、浮き草が疫病を治す効能のあることを教えた。)
夢から覚めた玄斎は、手を洗い、口を注ぎ、盛装をして五条の天神に詣でた。五条の天神の社には、夢の面影がありありと残り、扉が少し開き、馥郁たる香りが漂っていた。
その後、玄斎が世の中の移り変わりを見ていると、夢のお告げの通りであった。永享(1429~1440年)と時代が代わり、京都と鎌倉に確執が起こり、鎌倉の持氏は京都に謀反を起こした。京都は大軍でたびたび持氏を攻め、持氏親子は敗れて自害した。
こののちあちこちに戦が起こり、国家は衰退し、疫病が流行、死亡する人民は数知れない。
寿玄斎は天神の教えを思い出し、浮き草を調合して与えたところ、みな快癒した。人々はその薬効に感心し、医学の王、善逝の生まれ変わりだと言って、畏れ慎んだ。
その後、今川上総守の父の疫病を治したので、上総守は大変喜んだ。そして。過分の俸禄を与えて自分の国に招き、死ぬまで尊敬し続けたと言うことである。
終わり
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