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2014年9月19日 (金)

かまくら伝説 最終回

前回までのあらすじ

 父の郷里へ来た慎君は、横手のかまくら祭りで不思議な少年に会う。その少年の手引きで、慎君は900年前の少年、道太と同化する。道太は源義家の家来で,負傷して雪のほこらに倒れ込み、しずという里の娘に助けられる。しかしそのしずは、いくさで殺された娘の霊魂だった。義家軍は雪のほこらを作って陣とし、道太は見張りのため、そのほこらをめぐって歩く。

      かまくらと鎌倉

 気がつくと、慎君は大きなカシの木下に立っていました。隣には蓑を被ったあの不思議な少年がいます。
「慎君『よんじゃめぐり』の意味はわかっただろう?」
「うん。『用心めぐり』だよね」
「『かまくら』の意味はどうだい?」
「それは分からない」
「分からないかなあ。さっきほこらの中にいたのは、源氏の武将たちだよね。その源氏は後に鎌倉を本拠地にしたのさ。だから雪のほこらを『かまくら』と言うようになったのさ」
「ふうん、そうだったの、ところで君は・・・」
「僕かい、源氏にゆかりの者とでも言っておこうか。そんなことより、君はお父さんのところへ帰らなくてはいけない」
 はげしい雪の中で、慎君の体は、少し浮き上がったように思いました。そのとき、雪のほこらをまわる道太が見えました。そして、不思議な少年が、道太の中に吸い込まれていくのを、見たように思いました。

 雪が降ります。あたり一面を白いもやにして、雪が降りつのります。
「やあ、遅くなってごめんよ」
 不意に、お父さんの声がします。振り返ると、お父さんがかまくらから出てきたところです。
「いやあ、子どもたちに、もう一杯どうぞなんていわれて、つい甘酒を二杯も飲んじゃった。待ちどうしかっただろう」
「お父さんごめんなさい。長い間いなくなったりして・・・」
「え?」
「僕は道太の中に入っていたんだ」
「ドウタ? なんだい、ドウタって?」
「雪の蓑を着た子どもが来てね、それで・・・」
「雪の蓑を着た子どもだって? 昔はそういう子どももいたけれど、今はいないよ。まるで夢を見ているようじゃないか」
 慎君は辺りを見回しました。まわりの景色も人も、慎君が不思議な少年に会う前と同じです。本当に夢を見ていたのでしょうか? それも、お父さんがたった二杯の甘酒を飲む間に・・・」
 慎君が不思議に思っていると、遠くから歌声が聞こえてきます。道太の声です。慎君は目を輝かせて言いました。
「お父さん、ほら、道太がうたっているよ」
「歌? 聞こえないねえ」
 お父さんは首を傾けて言いました。でも、慎君には、かすかに、しかしはっきりと、道太の歌が聞こえるのです。

    用心めぐり
    用心めぐり
    寒鍋かけろ
    辛酒かけるな
    甘酒かけろ
    餅あぶれ
    ほーい  ほーい

 しんしんと雪が降ります。その雪の下で、横手市はかまくら祭りのにぎわいです。

                           終



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