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2014年9月 8日 (月)

かまくら伝説 その1

かまくら伝説 その1

よんじゃめぐり

 慎君はお父さんに連れられて、秋田県の南の端の、おばあさんの家に来ています。そこは小さな村で、お父さんのふるさとです。
 雪が慎君の背の高さより、もっと深く積もっています。こんな深い雪を慎君ははじめて見ました。それがめずらしくて、二階の窓際によって、外ばかり見ています。
 雪はしんしんと降っています。あたり一面がミルク色に煙っています。静かです。その静けさを破って、子どもたちの歌声が聞こえてきました。
「お父さん、あの歌、聞こえる?」
「歌? そうか今日は『よんじゃめぐり』だったのか。まだあんな行事をやってるんだなあ・・・」
 お父さんは目を細くして、昔を思い出しているようです。
「ねえ、お父さん『よんじゃめぐり』って何なの」
「ああ、あれはね、旧暦の1月15日に子どもたちが集まって、村中の家をまわって、鏡餅を貰って歩くのさ。歌を歌いながらまわるんだ。あとで、皆でお餅を食べるのが楽しみでねえ・・・」
「ふうん。歌がだんだん近づいてくるね」
 慎君は窓から首を出して、耳を澄ましました。子どもたちの、元気の良い歌声が近
づいてきます。

   ヨンジャァメグリ
   ヨンジャァメグリ
   カーンナベカケレ
   シッケェサケカケナ
   アマサケカケレ
   モチアブレ
   ホーイ ホーイ

「変な歌だなあ。どんな意味なの」
 慎君が聞いたので、お父さんはその歌詞を紙に書きました。

   よんじゃめぐり
   よんじゃめぐり
   寒鍋かけれ
   しけ酒(辛い酒)かけな
   甘酒かけれ
   餅あぶれ
   ほーい ほーい


「よんじゃめぐりって言うことばの意味は?」
「ウーン、よんじゃめぐりの意味ねえ・・・分からないなあ。そういえば、誰からも聞いたことがないねえ」
 そう言われると、慎君はかえって知りたくなります。「よんじゃめぐり、よんじゃめぐり、と、頭の中でくりかえしました。

                     続く  

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