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2014年7月12日 (土)

「日本史の謎は『地形』で解ける」 竹村公太郎 著

7月12日(土)

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 絵は広告写真から

○ 「日本史の謎は『地形』で解ける」竹村公太郎・著 PHP文庫

 正篇と「文明・文化篇」の2冊。

 地形や気候で歴史や文化を説こうとした人は、必ずしも著者が初めてではない。和辻哲郎は「風土」の違いから自己の思想を進めているし、キリスト教・ユダヤ教・マホメット教などの一信教が砂漠の宗教であるということなどは、多くの著書で語られている。いまや常識の部類だろう。そのような考えをいっそう推し進めているのが、この2冊の本である。

 著者は、たとえば信長が比叡山延暦寺をなぜ徹底的に壊滅させたか、という問題では、比叡山が逢坂の峠を越えて京都に走る人々(軍団)を見下ろす位置にあったこと、峠越えでは軍の隊列は長く伸びる。そこを山の上から攻撃されたらひとたまりもない。だからどうしても比叡山延暦寺をつぶさなければならなかったと説く。なるほど、そういう視点ははじめて知りました。そのように、なるほどね、と思うことも多い。

 狭山市民として少し残念なのは、家康が関東平野の湿地を乾燥させるために利根川を東京湾から銚子に流す工事を行ったことをたびたび書いているのに、荒川を入間川の流域につなげたことを書いていない点です。著者は荒川がもともと隅田川の上流と思っているようです。じっさいには荒川は利根川の支流でした。著者の論理とはあまり関係のないところですが, なんとなく狭山市の母なる川が無視されているようで気になるのです。

 2冊の本のうちどちらかと言えば私は「文化・文明篇」の方が興味深かった。それもどちらかと言えば小さな問題「日本の将棋はなぜ『持駒』を使えるようになったか」などです。これも地形から解いていくのです。「もったいない」の思想や「小型化」したがる性癖も地形から解いていきます。おそらく、そこまで地形から解こうというのは、この本が初めてではないでしょうか。

駄句

      嵐去り次の嵐が発生す    


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