詩「生ましめんかな」
10月19日(水)
スケッチ
昨日の智光山公園で採った写真からです。その意味で、オリジナル。
○今日の俳句
廻りつつイカは干される隠岐の島
歳時記に載っている季語はありませんが、イカを干すのは今の季節だそうです。テレビの映像から俳句を作るなんて、邪道なんでしょうね。まるでカラカサのように、棒に吊された沢山のイカが、モーターでぐるぐる回っていました
○精障者授産施設リバーサイドへ。舞台つくりの採寸。
○生ましめんかな
生ましめんかな 栗原貞子
ー原子爆弾秘話ー
こわれたビルデングの地下室の夜であった。
原子爆弾の負傷者たちは
ローソク一本ない暗い地下室を
うずめていっぱいだった。
生ぐさい血の臭い、死臭、汗くさい人のいきれ、うめき声。
その中から不思議な声が聞こえてきた。
「赤ん坊が生まれる」と云うのだ。
この地獄のような地下室で今、若い女が
産気づいているのだ。
マッチ一本ないくらがりでどうしたらいいのだろう。
人々は自分の痛みを忘れて気づかった。
と、「私が産婆です。私が生ませましょう」と云ったのは
さっきまでうめいていた重傷者だ。
かくてくらがりの地獄の底で新しい命は生まれた。
かくてあかつきを待たず産婆は血まみれのまま死んだ。
生ましめんかな
生ましめんかな
己が命捨つとも
感想は書きません。
| 固定リンク
コメント