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2010年2月 4日 (木)

影隠し地蔵・13

2月4日(木)

影隠し地蔵縁起 第13回

     ~風は見ていた~

源義高と大姫・3

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「川を渡った様子はないし、義高はどこかにいるはずだ」

 すぐに2人は、川の水を飲んでいる馬を見つけた。

「馬がいる。あれは義高の馬だ」

「馬がいるからには、この近くにいることは間違いない」

「しかしこの広場には、隠れる所とて無いではないか。あるとすれば何本かの木の陰と、あの地蔵の後ろくらいだ」

 2人は木の後ろに回り、地蔵の後ろも見たが何も見あたらない。念のため木の上も見たが、登った形跡はない。

「なんと言うことだ。先ほどまで姿が見え隠れしていたのに、ここまで来て見失うとは・・・。この村の家を、しらみつぶしにあったって見るか」

「待て、これは何だ・・・地蔵の影が二つある。地蔵の後ろに、もうひとつの影がある・・・」

 追っ手の1人が言う。

「そんなばかなことが・・・ん? 確かに影が二つ・・・ならば、切ってみるまでよ」

 その追っ手は、二つ目の影の出所に向かって、刀を振り下ろした。

「あっ!」

 悲鳴を上げて倒れたのは、まさに義高であった。

 身隠し地蔵は義高の血しぶきを浴びて、みるみる赤く染まり、その顔は憤怒の形相となった。身に浴びた血しぶきは炎となって燃え上がり、義高と、地蔵自身を焼き尽くした。

 怪しい風と共に、雷鳴がとどろき、激しい雨は、地蔵の燃えがらも義高の死骸も血しぶきも、何もかも二瘤川に流し去ってしまった。

                続く

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