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2010年2月 9日 (火)

影隠し地蔵縁起・18

2月9日(火)

影隠し地蔵縁起 第18回

     ~風は見ていた~

首塚・4

 翌日、義宗とおとき、藤治と7人の仲間は、義興の首塚にお参りをした。その後、藤治、参三郎、与十郎の3人は、義宗が引き留めるのも聞かず立ち去っていった。足利と戦う意志のないことを知って、ただの百姓になることを潔しとしなかったのである。残りの5人は義宗のもとに残った。

 更にその翌日、おときは義宗の首塚の前で、腰をぬかさんばかりに驚いた。藤治たち3人の武将が、首塚の前で自決していたのである。

 おときの知らせで駆けつけた義宗は、ただ呆然と立ちつくすばかりであった。

「藤治殿は、義宗殿に会うことを楽しみにしておられたが・・・」

 義宗のもとに残った一人の武将が言った。

「・・・期待を裏切られたという訳か」

 絞り出すような声で義宗が言った。そして、しばらく誰も声を発するものはなかった。

「藤治殿は1度立ち去りはしたが、大将無しで足利に刃向かうことは出来ないと思ったのだろう」

 ややあって、誰かがつぶやくように言った。

「それで、ここまで来て自決したというのか」

「昔の親方の首塚の前で自決して、後を追ったのだろう」

 5人の武将たちは、声をひそめて話す。義宗は終始無言で立っていた。

 義宗たちは義興の首塚のまわりに、3人の墓を作った。そして、毎日お参りをした。

 藤治たちが自決してからの義宗は、めっきり無口になった。おときが話しかけても、上の空の返事ばかりである。5人の武将たちも、たまにおときの畑の手伝いをすることはあっても、おしなべて無口であった。

                続く

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