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2010年1月27日 (水)

影隠し地蔵縁起・6

1月27日(水)

影隠し地蔵縁起 第6回

    ~風は見ていた~

源爺の話・4

 その晩、源吉は春光達の小屋に泊めてもらった。春光は、京の都で仏像を作る仕事をしていたという。しかし、それ以上のことは、あまり話したがらないようだった。

 次の日から、3人の共同生活が始まった。まず、源吉の小屋作りである。源吉達は、鉈で木を切り、藤や葛の蔓でその木を結わえて組み合わせ、柱や梁とした。

 源吉は粗ぽくどんどん仕事を進めるが、春光の仕事はゆっくりしていた。その代わり、こまかいことに気づいて、仕上がりがきれいだ。また、去年せつ子と協力して小屋を作っているだけに、要領をのみこんでいるような所もあった。

 丸太を結わえて柱や梁を作り、茅を刈って屋根や壁にした簡単な小屋が出来た。春光のおかげで源吉の小屋は、屋根の傾斜や明かり取り、竈の煙出しなども、いきなり作ったにしては、まずまずの仕上がりになった。

 小屋ができあがると、畑の開墾である。その日その日の食べ物を手に入れながらの開墾なので、なかなか大変である。幸いこのあたりは、山菜が豊富だった。二瘤山はもちろんだが、あえて川を渡るまでもなく、小高い丘へ行けば、山菜やどんぐり、山栗などが思うように採れた。川にも魚は多かった。わなを仕掛けておけば、ときどきはうさぎも掴まえることができた。

 3人は、時には耕し、時には山や川に食料を取りに行った。山菜も魚も、あまった物は、干したり薫製にしたりして保存した。

 とにもかくにも、源吉の持ってきた種を、早く蒔かなければならなかった。3人は、まず2つの小屋のまわりから畑を作った。木の多いところは避けて、草地から畑にした。細い木ならば、鉈で切ることも出来る。鉈で切れないほどの木になると、とても手がつっけられない。1本の木を切り倒して、根を掘りあげるとなると、1日がかりでも出来なかたったりする。だから、大きな木はそのまま残した。

 そうしてできた畑に、そばの種を蒔き、里芋を植えた。

                 続く

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