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2010年1月12日 (火)

かまくら伝説・9

1月12日(火)

かまくら伝説 第9回

雪の陣

 雪が降る。昨日も今日も、しんしんと雪は降り続く。

 義家軍は、陣を立て直さなければならない。武将たちはバラバラになって、あちこちの農家の納屋などにひそんでいる。道太は連絡係だ。戦に嫌気がさした武将には、道行が説得に行った。だが義家軍は、こんな雪の中で、一体どんな陣を作ろうというのだろうか。

 義家は武将たちに、雪のほこらを作らせた。雪を積み上げて横から穴を掘り、3,4人が中に座ったり、横になったり出来るほどの、雪の家を作るのだ。中に藁を敷き、むしろで入り口を塞げば、中は思ったより暖かい。道太が雪のほこらで過ごしたことを、父の道行に話したので、道行が思いついたに違いない。雪原にいくつもの雪のほこらを作って、義家軍の陣ができあがった。

 雪の陣が完成した晩、義家は武将たちに、餅と甘酒を配り、遅れの正月を祝った。武将たちは雪の下から掘り出した石や土などで、ほこらの中に囲炉裏を作り、その囲炉裏で餅を焼き、甘酒を温めて暖を取るのだ。武将たちの弓や槍は、ほこらの外の雪にさして、立ててあった。

 道太は、雪の陣の見張りをするように命じられた。

 一人の武将が言った。

「見張りの間は歌をうたえ。歌が聞こえている間は、何事もなく見張っているのだと分かる。歌がとぎれたら、何かが起こったのだと分かる。だから、歌をうたえ」

                  続く

 

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