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2009年12月11日 (金)

鬼にたぶらかされる・2

12月11日(金)

御伽婢子・154

鬼にたぶらかされる・2

前回のあらすじ 小石伊兵衛は河内の国片岡の城に籠もっていたが、負け戦になりそうなので、城を抜け出し、臨月の妻を連れて逃げた。大和の国に入る峠で休んでいると、妻が使っていた女が後を追いかけてくる。妻は産気づき、女はかいがいしく働いて妻は無事出産した。山の中で夫婦はまどろむ。

女房が目を覚ますと、女は懐に抱いた赤ん坊の頭を、舌を出して舐めている。不審に思って見つめると、女の口は耳まで裂け、赤ん坊の頭に食いついた。妻は驚いて、そっと夫を揺り起こした。

目を覚ました伊兵衛はこのありさまを見て、そっと刀を抜き、女に斬りつけた。女は毬のように弾み、木に飛び上がったかと思えば地上におり、又梢に飛び上がり、姿形も鬼になり、赤子を食い続ける。やがて20㍍くらい離れた岩の上に立ち、赤子を食い尽くした。伊兵衛は猛り狂って斬りかかるけれども、夢のごとく、影のごとく、ふわりふわりと飛び回り、刀にかすりもしない。やがて、蝶かトンボのようにどこかへ行ってしまった。

肩を落としてもとの木の辺りに来てみたら、妻もいなくなっている。呼んでみても返事がない。伊兵衛は山の中をあちこち探し回った。明け方になって、奥の岩の上に置かれた妻の頭を見つけた。鬼の仕業である。涙と共に妻の頭をその土に埋め、とぼとぼと大和をめざして歩いた。

伊兵衛は世の無常を思い、高野山の麓、新別所と言うところに籠もって修行をした。その後のことは誰も知らない。

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