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2009年12月 7日 (月)

隋転力量

12月7日(月)

御伽婢子・150

隋転力量・1

隋転(ズイテン)は房州の人である。幼くして出家し、のち武蔵の国小石川の伝通院で仏法を学んだ。

貧しくて朝夕の食事にも事欠くくらいだったので、山梨、長野、栃木、群馬の辺りを乞食して歩いた。そのため学問の方は進まなかったが、大変な力持ちである。一緒に学ぶものの間で、彼にかなうものはいなかった。そのため修行僧たちは、彼に明上座というあだ名を付けた。

中国の神秀禅師に従う者に、明上座という大力の法師がいた。禅宗6祖の1人恵能大師が旅行したとき、明上座が譲り受けた袈裟を持っていった。明上座は追いかけていき、袈裟を取り返そうとすると、恵能大師はその袈裟を石の上に無造作においた。明上座が取ろうとしたが、なんとも重くて、持ち上げることが出来ない。

「その袈裟は、力では上がらない。明上座よ、袈裟を着る者の本来の目的を考えなさい」

恵能大師に諭されて、明上座は翻然と悟るところがあった。

さてわれらが明上座の場合、力ばかり強くて、学問はまるで駄目だったので、仲間が馬鹿にして付けたあだ名である。

隋転(明上座)が信州の山中を通ったとき、山賊にであった。隋転は、ひとまずは逃げた。足にまかせて逃げたけれども疲れてしまって、近くにあった松の木を引き倒して、その上に腰をかけた。追いついた山賊に、隋転が言う。

「逃げようとしたけれども、息が切れて逃げ切れません。もう諦めました。有り金は全部差し上げますから、命だけは助けて下さい。とにかく、ここに座って下さい」

山賊はそれならばと隋転が座っている松に腰をかけた。すると隋転が立ち上がり、無理に曲げられていた松の木は跳ね上がった。山賊ははじかれて谷底に落ち、死んでしまった。

隋転はこのような力持ちである。

              続く

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