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2009年12月 9日 (水)

シラミの瘤

12月9日(水)

御伽婢子・152

シラミの瘤

日向の国の商人、背中に掌くらいの熱を持つ部分が出来、まるで燃えるようになった。20日くらい経ったら、熱はなくなったが、今度は痒くてしょうがない。そのうち腫れ上がり、盆を伏せたような状態になった。痛くはないのだが、痒くて痒くてたまらない。おかげで食事も進まず、骨と皮ばかりになってしまった。

財力にまかせてあちこちの医者に診せ、飲み薬だ軟膏だといろいろ試したが、少しも効き目がない。

その頃南蛮の商船で来たチャクテルスという名医がいると聞いたので、つてを求めて診てもらったところ、虱瘤(シツリュウ)といって、皮と肉の間に虱が湧く病気だそうだ。

普通の虱は皮の上に湧いて、1晩のうちに3升も5升も出てくることがある。シラミは衣類に満ち満ちて人肉を食らい、血を吸う。痒くてしょうがないけれども、他人にはうつらない。この病気は医者ならば誰でも治せる。虱瘤は知る人がいない。とチャクテルスが言う。

チャクテルスは患部に薬を塗った。そして言った。

「今晩きっと、シラミが這い出します」

その夜、瘤の天辺が破れて、シラミが次々と這い出してきた。その量はおよそ1斗ばかりである。みな足があった、ゴマくらいの大きさ、色は赤い。

商人は体が軽くなり、食も進んだ。シラミの出た後に、穴がひとつ残って、ときどきそこからシラミが這い出してくる。

チャクテルスは樹齢100年の唐木を焼いて龍の飲む水で練った薬でなければその後を直せないという。少し持っているので1匙上げましょうと言うことで、その薬を塗ったところ、17日ばかりして、傷の跡もすっかり治った。

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