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2009年11月10日 (火)

七歩の蛇

11月10日(火)

御伽婢子・129

七歩の蛇

京都の西の麓、昔、岡崎中納言の山庄があったところは、その後は荒れ果てて、住む人がなかった。

浦井という者がその土地を買い、家を建てた。

「あそこは蛇の化け物が出るぞ」

という人がいたが、

「そんな馬鹿なことがあるものか」

と、浦井はかまわず家を建てて移り住んだ。

住んでみると、夜中に1メートルあまりの蛇が5-6匹出てきて、天井などをはい回った。使用人に蛇を取り除かせようとしたが、鎌首を持ち上げて睨み付けるので、使用人は怖がって出来ない。やむを得ず、浦井自身が杖で蛇を打ち落とし、桶に入れて加茂川に流した。

次の日は、蛇が15匹も出た。同じように桶に入れて加茂川に流した。するとその次の日は30匹出る。取り捨てるたびに蛇の数が増える。終いには300匹あまりになった。

幾ら取ってもきりがない。浦井は自ら地鎮祭を行った。浦井が祝詞をあげた夜、地下ですさまじく騒がしい音がした。

夜が明けると、その辺りの草むらがことごとく枯れていた。枯れたところと青草が生えているところの境目の辺りの大きな石を取り除いてみると、15センチくらいの小さな蛇が逃げて行く。追いかけて打ち殺してみると、驚いたことに、4本の足があり、耳もある。その形はまるで龍のようである。

誰もその生き物を見たことのある者はいなかった。南禅寺の僧によると、それは七歩の蛇で、それに噛まれると、7歩くらい歩くだけで死んでしまうという。

その後、浦井の家に蛇は出なくなった。夜中に沢山出た蛇は、おそらく七歩の蛇の精だったのだろう。

                         終

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