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2009年11月 4日 (水)

生まれ変わって契る・4

11月4日(水)

御伽婢子・127

生まれ変わって契る・4

前回までのあらすじ豊田孫吉が契った女は、実は幽霊であった。2人は前世で、共に打ち首にあった中で、まだあの世にいる女は孫吉が恋しくて、幽霊になって出てきたのであった。女は前世の主人大友左衛門佐について、いろいろ語っている。

あるとき左衛門佐は塩焼きの浦に命令して、塩は全部自分で買い取り、他に売ることを禁じた。

   さなぎだに辛きおきめを左衛門が

       国の塩やきにがりはてけり

左衛門の掟が厳しくて塩焼き達が困っていると落書きがあった。左衛門佐は怒って、塩焼き司3人を砂浜で磔にした。

百姓に対しては、銭米を貸し付けて、高い利子を取った。かりる必要のない者にも、無理に貸し付けて、領民を苦しめ、利子を付けて返せない者には、妻子を売ってでも返させた。

誰かが落首を詠んだ。

    無理にかす利銭の米の数よりも

        こぼす涙はいとどおほとも

名字の大友にかけての落首に、左右衛門は大いに怒った。百姓にこんな歌が出来るはずがない、金持ちの仕業に違いない、と、勝手に決めて、城下の金持ち10数人を国から追い出した。そしてその財宝を自分の者にした。

左衛門佐が父の法事を行った際、国中の僧が集められたが、1人の僧が遅れてきた。ぼろをまとい、いかにも貧しげな僧だったので、人々は門の中にも入れず、余り物の食を与えた。

食事ののち、その僧は自分の鉢を膳の上に伏せたまま立ち去った。その鉢をどけようとしたが、誰がやっても、重くてびくともしない。不思議なので左衛門佐に知らせると、左右衛門自身がやってきてその鉢を持ち上げると、今度は軽く持ち上がった。そして中から2首の歌が出てきた。

   花ちりて梢につけるくだ物の

        今幾つかありて落ちんとすらむ

   我人につらき恨みをおほ友の

        家の風こそ吹きよわりかれ

花が散って梢についた果物も、もう落ちるばかりですよ。人々を辛い目に遭わせた大友家の風も、もういくらもふきませんよ、こんなことをしていたら、大友家は滅びますという歌なのだが、左衛門佐は気にもとめなかった。それまで通り欲深く、人を殺すことをくり返した。しかしそれから2年もしないうちに大友家は滅び、自身は死んでしまった。

何事も天の定めとはいいながら、人の道に背けば、報いは必ずくるものである。

                      続く

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