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2009年11月12日 (木)

遅れの七五三

11月12日(木)

ボラグループ定例会。

老人介護施設Kへ。

七五三が近づいてきた。

この時期になると、思い出す場面がある。

もう40年以上も前になると思う。私は東京、本郷の和楽器屋で琴作りの職人として働いていた。そして、埼玉県の大宮で所帯を持っていた。通勤は大宮駅から御徒町駅まで、京浜東北線で通い、御徒町から本郷の会社までは歩いた。その際、湯島天神の境内を抜けるのが近道だった。

11月15日が過ぎて何日かしたころ、いつものように私は湯島天神の境内を通って、御徒町へと急いだ。そこで湯島天神にお参りをしている、父と娘を見た。遅れの七五三を祝っているのだ。娘の様子を見るならば、七歳のお祝いだろうと思われた。

娘は着物を着ている。その着付けは、誰がしたのだろうか。父は背広姿で、曲がったネクタイが生活の疲れを感じさせた。街灯の弱い光りの中で、ほかに誰もいない境内で、二人は社殿に向かって歩いていた。

娘の母は病気なのか、亡くなったのか、あるいは離婚しているのか、それは分からない。いずれにしても、父と二人で住んでいるのだろう。おそらくは娘にねだられて、サラリーマンの父が仕事を終わってから娘を連れてきたに違いない。

娘は、この七五三を一生忘れないだろうと私は思った。しかし、考えてみると、私の方も忘れていないのである。あのときの娘は、もう50歳前後になっているはずである。今は幸せなのだろうか、と、ふと思う。

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