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2009年11月 2日 (月)

生まれ変わって契る・2

11月2日(月)

御伽婢子・125

生まれ変わって契る・2

前回のあらすじ 肥前の国の豊田孫吉は、行きずりの女性と親しくなり、夜ごとに逢う瀬を重ねているが、女は身分を明かさない。ある夜、女は自分が異界のものであることを知らせ、孫吉とは深い因縁があるのだという。

以下は女の語りである。

昔、この松浦に、大友左衛門佐と言う大名がいた。私は歌が上手くて、碁が強かった。そのため左衛門佐に召されて、側に仕えたが、やがて寵愛されるようになったの。

その頃あなたは大友の小姓だったわ。とてもいい男で、私は心を奪われてしまったのよ。それでね、ある日の夕方、

   よそながら目には懸かれど雨雲の

        へだつる中にふるなみだかな

と書いて、あなたの袂に入れたの。そしたらあなたは、次の晩、

   よそにのみ嶺の白雪きえかへり

        たえずこころにふるなみだ哉

と書いて、私の袂に入れてくれたわ。

私たちは歳も同じだっだし、同じ所に住んで、思い思われていたのに、まわりの目が厳しくて、抱いてもらうことも出来なかったわ。そのうち仲間達に、私たちが思い思われていることが知られて、左衛門佐に言いつけられてしまったの。私たちは縛られて、松浦川のところに引きずられて、打ち首になってしまったんだわ。

あなたはまた人間に生まれてきたけれども、私はまだあの世にいるの。だけどあなたが恋しくて、幽霊になってあなたと結ばれたの。

昔のことを思うと、私は今でも、悲しくて涙が止まらなくなるわ。

女の話を聞いて、孫吉もまた悲しくなり、涙が出た。

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