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2009年10月10日 (土)

イモリの化け物・2

10月10日(土)

御伽婢子・107

イモリの化け物・2

前回のあらすじ 越前の国湯尾というところに城跡があった。人の訪れない寂れたところで、塵外首座(ジンガイシュソ)と言う僧が、庵を結んでいた。ある夜、身長15-6センチの人間が現れ机に飛び乗ったが、塵外首座が扇ではらったら下に落ち、狼藉の報いを与えると叫んで、出て行った。

暫くするとやはり15-6センチの女が5人ばかり出てきた。その中の老婆が言う。

「われらの主君が申された。『沙門が一人、灯の下で学業に励んでいる。誰かが行って慰めてやりなさい。そして仏法の話しなどをしてきなさい』そこで、智弁兼ね備えた学士がここへ来たのに、あなたは乱暴にも机から落としてしまった。われらの主君が敵を討つだろう」

老婆の話が終わるやいなや、1万人もの小人がやってきて、腕をまくり肩を怒らせ、杖を持って、首座を打ち付ける。まるで蟻のようである。痛くてたまらない。

みんなの後ろの方で、号令をかけている者がいる。大将なのだろう。赤い装束で烏帽子を付けている。

「坊主、ここから出て行け。さもなければおまえの目をつぶし、耳や鼻をそいでしまうぞ」

7-8人が首座の肩に登り、耳や鼻に食らいついた。首座はこれを払い落として、門の外に逃げた。首座が南の方にある岡に登ったところ、見慣れに門があった。やれやれ、今晩はここに泊めてもらおうと門に近づくと、追っ手がもう首座の後ろまで来て、首座を突き倒し、門の中に引き入れた。

門のうちにも、同じような人が7-8千人もいる。その中の大将らしいものが言う。

「儂はおまえを憐れんで話し相手を送ったのに、かえってその者を打ち付けた。その罪の償いとして、おまえの手足を切り落とす」

数百人が刀を抜いて、首座にうちかかろうとする。首座は怖れて詫びた。

「私はまことに愚かなことをいたしました。あなた様のお心も知らず、誤りを犯しました。今さら後悔してもはじまりませんが、なにとぞ罪をお許しください」

「悔やむ心があるならば、これ以上責めるのは止そう。その者を追い返せ」

首座は門の外へ突き出された。

                          続く

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