« 施設の運動会 | トップページ | 文化祭はじまる »

2009年10月28日 (水)

隠れ里・3

10月28日(水)

御伽婢子・121

隠れ里・3

前回までのあらすじ 内海又五郎は京から宇治へ行く途中で、おんぼろな堂で夜を過ごし、妖怪にであう。妖怪めがけて矢を放ち、矢は妖怪の大将に肘に当たる。朝、血の跡をたどっていくと、大きな穴に落ちてしまう。そこで、例の妖怪達に会う。又五郎は「医者」と言うと、それなら城主の傷の手当てをしてくれと頼まれる。

又五郎が城内の通されると、主は奥の部屋で寝ていた。

「私が城の外に出たら、肘に流れ矢が当たって、痛くて溜まらない。もう死にそうだ。病気を治す薬が欲しい」

と言う。その顔を見れば、歳を経た大きな猿である。苦しさに、うんうんとうなっている。枕元に、この上なく美しい2人の女が座っている。

又五郎は近くによって脈を取り、傷を撫でまわした。

「私にはよい薬があります。これを飲めば、傷が治るばかりでなく、天や地と同じくらいく生きることが出来ます」

「それはありがたい、ぜひその薬のみたい」

「不老長寿の薬ならば、私たちもその薬が欲しい」

又五郎は火打ち袋から丸薬を取りだし、みんなにその薬を与えた。大勢の猿どもが、争ってその薬を飲み込んだ。

実はこの薬、獣を撃つときに鏃に塗る毒薬だった。だから、暫くするとみんな、倒れ苦しんだ。又五郎は大猿の枕元に立てかけてあった刀を抜き、猿をかったっぱしからきりまくった。2人の女も同類だろうと思い、切ろうとしたが、女達は、

「私たちは正真正銘の人間です」

という。聞いてみると、1人は醍醐と言うところの波浦なにがしの娘、他の1人は伏見の平田なにがしの娘だという。

「私たちはここにさらわれてきて60日くらいになります。妖怪達の慰み者として一生ここにいなければならないのかと思っておりました。幸いにして、今日あなたが妖怪達を討ってくれました。ぜひ私たちをここから出して、父母の元に返らせてください」

涙ながらの訴えを聞いたが、又五郎は、妖怪達を討ちはしたが、穴から外へ出る方法を知らない。どうしたものかと思案した。

|

« 施設の運動会 | トップページ | 文化祭はじまる »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/118203/31977331

この記事へのトラックバック一覧です: 隠れ里・3:

« 施設の運動会 | トップページ | 文化祭はじまる »