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2009年10月29日 (木)

隠れ里・3

10月29日(木)

御伽婢子・122

隠れ里・3

前回までのあらすじ 内海又五郎が野中の荒れた堂で野宿していたら妖怪が堂の中に入ってきた。又五郎は身を隠して矢を放ったところ、その矢が妖怪の大将を傷つけた。朝、妖怪が逃げた血の跡をたどっていき、誤って大きな穴に落ちる。そこは妖怪の世界だった。又五郎は妖怪達を斬り殺す。美女二人が残ったが、彼女らは人間で、逃げられずにいたのだという。

妖怪を退治したのはよいが、人間世界にかえる術が分からない。どうしたものかと迷っていると、どこからとも無く白装束に烏帽子を付けた老人が10人ばかり、やってきた。

「われわれは久しくこの地に住んでいるのだけれども、近ごろは猿たちに住み家を奪われ、片隅に追いやられていました。妻子や孫も辛い思いをしていました。あなたはその猿たちを退治してくれた大恩人です。私たちは昔のようにここに住むことが出来ます」

と、手に手に、又五郎の前に黄金の包みを置いた。しかし今度現れた者たちも人間ではない。目は丸く、口は尖り、ひげと眉毛はいたって長い。

「お前たちは何者だ。神通力を持っているように見えるけれども、なんで猿なんかに住み家を奪われたのだ」

「私たちは500歳を超えて神通力を得ました。しかしあの猿たちは800歳を超えています。そのためにかなわないのです」

「なるほど」

「私たちは大黒天の使いです。ここはネズミの住所で、隠れ里と言います。私たちは人間に害を加えません。功徳を積んで天上に行き、仙人になるのを楽しみにしているのです」

「それなのにあの猿たちは、悪いことばかりして人間の娘をかどわかして自分たちの慰みとし、ものを壊して災いをなしました。あなたが彼らを殺すことが出来たのも、天のご加護があったからです」

「さあ、これからあなた方を人間世界にお返ししましょう。私たちの背中に乗って、目をつむってください」

大きな白ネズミと、豚ほどもあるネズミたちが出てきて、又五郎と娘たちを背中に乗せた。又五郎達が目をつむると、大した時間もかけずに地上に出た。

又五郎は2人の娘を親元に送っていくと、両方の親は大いに喜んで、それぞれ又五郎を婿に迎えた。又五郎は武門を離れ、裕福に暮らしたが、子供はなかった。その後の又五郎が、何処でどうしたかは分からない。

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