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2009年10月21日 (水)

了仙の貧窮 天狗道

10月21日(水)

御伽婢子・116

了仙の貧窮・1

了仙法師は播州の出身である。幼くして父母を亡くし、草堂に籠もって出家した。17歳の時関東に出て、足利学校で30年以上も勉学に励んだ。仏典や仏教以外の書籍も多く読み、神についても歌の道についても詳しく、博学の者として、あちこちの学問所に在籍した。弁舌は鋭く、了仙にかなうものは居なかった。だからなのか、生まれながらの変わり者でもあった。

しかしながら、世間にはほとんど名を知られることがなく、貧しかった。身にまとうものさへ満足になくて、墨染めの衣の袖は破れていた。その日の食にさえ不足するほどだった。

学問は深くなったのに、僧としての位は低いままであったが、名利を得たいという気持ちは捨てられずにいた。

了仙は自問自答した。

「了仙や、了仙や、おまえは学問をよく修め、才知がある。こころざしも正しいのに、自分を養うのにさえ苦しんでいる。それほど修行したのに、1寺の主にさへ成れないのはなぜだ」

「安然は堂の軒に飢えて、桓舜は神として祭られた。これは道義の違いによるのだろうか? 役の小角は伊豆に流された。これは行徳がおろそかだったからだろうか? 教因は禄にありつき、安海は僧の位を得られなかった。これは智と愚の違いによるだろうか? 沙彌は暖かな衣を着て、主恩は飢餓に苦しんだ。これは才能の違いによるのだろうか? いやそうではない。過去生の因縁に依るのだ。儒教ではそれを天命という。自分の修行を頼んで、名利を求めてはいけない」

了仙は、自ら問答をして、自分を慰めていた。

                        続く

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