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2009年10月22日 (木)

了仙の貧窮 天狗道

10月22日(木)

御伽婢子・117

了仙の貧窮 天狗道・2

前回のあらすじ 僧、了仙は、学識は優れ、弁舌も爽やかで行いは正しいのに、名利に恵まれず、貧窮の生活を送っていた。それは前世の因縁によるものと自分を納得させていたが、名利を求める気持ちは捨てきれなかった。

了仙は自分がすぐれているという慢心を捨てきれなかった。従って、世間に評価されないことを憤る気持ちがあった。その気持ちを持ったまま、鎌倉で病死してしまった。了仙の遺体は光明寺に埋められた。

学友に伴頭栄俊という者が居て、了仙とは親密な関係だった。その栄俊が藤沢あたりに出かけたとき、死んだはずの了仙にであった。

了仙は漆塗りの高価な輿に乗り、無冠のもの数人にそれを担がせ、高僧用の椅子や朱色の傘を随員に持たせている。そして露払いが先頭に立って、道を払っている。まるで大僧正の儀式のようだ。了仙は高価な袈裟を身にまとい、檜の扇をはためかせている。

了仙は栄俊を見つけて輿から降り、手を取って懐かしがった。栄俊が言う。

「あなたと別れてまだ半年くらいしか経っていない。よくもまあ出世したものですね。学力も知力も優れていたのだから、このように出世したのでしょう。羨ましいことです」

了仙は答えた。

「あの世で私は一つの職を授けられた。隠すこともないので、そのありさまをお見せしましょうまずはこちらへおいでなさい」

といって、栄俊を光明寺に連れて行った。時刻はもう、夜半を過ぎていた。

了仙は言う。

「私には慢心があった。決して非道はしなかったが、生活は貧しく、世に受け入れられないことを腹立たしく思っていた。それを前世の因果と納得してはいたが、なんとしても、慢心を抑えることが出来なかった。そのため死んでから、天狗道に落ちた」

一呼吸置いて、了仙は話を続ける。

「天狗道で、私は学問所の長に任命された。そこで私は文をつづり、書物の真理をあきらかにした。天狗道というのは魔道だけれども、鬼神に横道無しというように、良いにつけ悪いに付け、人を正しく評価する。その点、人間とは大いに違いがある」

了仙の話しは更に続く。

                       続く

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