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2009年10月 3日 (土)

人面瘡

10月3日(土)

御伽婢子・104

人面瘡

山城の国の百姓が久しく神心気の病いに悩んでいた。あるときは悪寒、発熱に襲われ、またあるときは、体中ギリギリと痛むのだった。いろいろと治療をしてみたのだが、一向に治る気配がない。

そうこうするうちに、左足の付け根にでき物が出来て、そのでき物の形が、まるで人間の顔のようであった。その形、目と口はあるが、耳と鼻はなかった。

試みにその口に酒を流し込むと、顔が赤くなった。餅を与えると、口をもぐもぐさせて呑み込む。酒や食物を与えているときは良いが、与えていないときは、しきりに痛むのである。これには百姓も参ってしまい、痩せ衰えて骨と皮ばかりになった。

その病気をどの医者も治すことが出来なかったが、たまたま諸国行脚の修行者が来て、その傷を見て言った。

「これは珍しい病気だ。この病気の人は必ず死ぬが、まんざら直す方法がないわけでもない」

「それならば、ぜひ治してください。病気さえ治るならば、田畑なんか要りません」

百姓は田畑を売って、その金を修行者に渡した。修行者は諸々の薬を買い集め、それを傷の口に呑ませたら、みんな呑み込んだ。更に修行者は、貝母という百合の根で作った薬を飲み込ませようとしたら、傷は口を閉じ、眉根を寄せて受け付けない。その貝母を粉にして、芦の筒をストローにして、傷の口に無理に押し込み、その粉を口の中に吹き込んだところ、半月ばかりで、傷はすっかり癒えた。

この傷のことを、人面瘡というのである。

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