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2009年10月 4日 (日)

人鬼

10月4日(日)

御伽婢子・105

人鬼

丹波の国の興次という者の祖母は、160歳にもなるが元気である。髪が真っ白で、剃髪して尼になった。

興次自身も80歳を過ぎており、子供はもちろん、孫も多い。祖母は若いときからふしだらで、わがままな人だった。剃髪して尼になったからと言って、その生格が治まるはずもなく、興次を捕まえては、ああでもない、こうでもないとなんくせをつけて、叱りとばした。

興次の祖母は、耳さとく、ひそひそ話も聞きつけるので、悪口も言えない。目も、針に糸を通すことが出来るほどだ。歯は90歳くらいの時に抜け落ちたが、100歳を過ぎて生え替わった。

この祖母、昼の間は、麻の着物を縫ったりして、ごく普通なのだが、夜になると、どこかへいくようである。ある夜、何事かと跡を付けてみたのだが、この祖母は怒り狂い、、追跡は諦めた。あるとき、興次の子供が酒によって、その勢いで祖母の部屋の戸をひらいた。するとそこに観たものは、猿の骨や、鹿の骨、あるいは犬の頭、鶏の首であった。

そこへ祖母が帰ってきて、自分の部屋が開けられたことを知った。祖母は大いに怒り、目は光り、口は裂けてわななき、どこかへ走り去ってしまった。その後、大江山で薪を取っていた者が、鬼にあったという。あの姥のことであろう。行きながら鬼になった者の話しである。

                      第9巻 終わり

                       

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