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2009年10月12日 (月)

ねたみ女水神となる

10月12日(火)

御伽婢子・109

ねたみ女水神となる

山城の国宇治橋の北の外れに、橋姫の社がある。橋姫は大変なブスで、ついに夫となる人はなかった。

橋姫は自分が結婚できないものだから、人の幸せを妬んでいた。そのため橋の対岸のものが結婚するときは、橋姫の社の前を通らないようにして船で川を渡る必要があった。うっかり橋姫の社の前を通り橋を渡ったりすれば、必ず離縁になるということである。

話は変わるが、その昔、宇治郡に岡谷式部という裕福な者がいた。その妻は小椋の里の領主、村瀬兵衛という人の娘である。

この妻はきわめて嫉妬深く、召し使う女は、たとえ子供でも、見にくい者のみを選び、少しまともな者がいると、追い出した。よそに幸せな者がいると聞くと、腹を立て、怒って飯を食わなかったりする。ましてや自分の夫などは、やきもちを焼いて家から出そうともしない。岡谷も扱いかねて離縁しようとすると「そんなことをしたら鬼になってとり殺してやる」とすごむ。

「源氏物語の六条御息所は死んでから鬼になって、後の世まで不名誉な名を残した。それはねたみ深かったためだ。おまえも器量は良いのだから、そんなにやきもちを焼くことはないだろう」

といえば、女房は、

「私の器量が悪いからそのように言って、他の女を作るのでしょう。このうえは生まれ変わって、浮気男を苦しめてやる」

と髪を逆立て、口を真っ赤にして広げ、目を大きく見開いた。血の色になった目から、涙をハラハラとこぼし、裸足で家から走り出し、宇治川に飛び込んだ。

                              続く

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