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2009年10月27日 (火)

隠れ里・2

10月27日(火)

御伽婢子・20 第11巻

     原  作   浅井了意

     現代語訳  ぼんくらカエル

隠れ里・2

前回のあらすじ 内海又五郎は京から宇治へ行こうとして、栗栖野というころに出た。日が暮れたが人家はないので、古い、壊れかけた堂で休むことにした。夜の10時頃、その堂に向かって大勢の人間が歩いてきた。こんな夜中にこんな淋しいところにくるなんて、化け物か盗賊に違いないと考えた又五郎は、天井に隠れた。

又五郎が天井に潜んでいると、20人ばかりが堂に入ってきて、灯を付けた。その中に大将のような者が居て、上座に座り、その他の者も、それぞれの座についた。槍、長刀、弓などを持ち、まわりを警戒しているようだ。その顔は猿のたぐいで、人間ではない。

なるほど化け物だわいと思った又五郎は、弓を取り、大将めがけて矢を放った。その矢は、大将の肘に当たった。

「これは、何事だ!」

大将は悲鳴を上げて叫んだ。 

慌てて灯をけし、みなちりじりに逃げていった。

又五郎は夜が明けるのを待ち、辺りを見れば、血の跡が点々と続いている。その後を辿っていくと、やがて大きな穴に着いた。変な穴があるもんだと思って覗いていたが、誤って足を滑らし、穴に落ちてしまった。

穴は深くて、上に這い出せそうもない。中は暗くて、まわりの様子もよく見えない。こんなところで死ぬのかと思ってあちこち手探りをしていたら、横穴があることが分かった。何はともあれ、その横穴を辿って、おそるおそる進んだ。100メートルばかり進むと、急に明るいところに出た。まるで地上と同じである。

大きな岩があり、石の門があった。数十人の者がその門を守っている。その者たちの顔つきは、昨夜堂に来た者たちと同じ顔つきである。又五郎を見て、門番が言った。

「おまえは何者だ。どうしてここに来た」

「はい。私は播州から都に来た者です。医師を職業としております。薬草を探して山には入りましたが道に迷い、穴に落ちてしまいました。どうか都に帰る道を教えてください」

「医師か。それは良いところに来た。じつは、われらの主人が昨日城の外に出たところ、流れ矢に当たってけがをした。ぜひ、手当をしてもらいたい」

「分かりました。おやすいご用です」

                         続く

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