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2009年10月 9日 (金)

イモリの化け物・1

10月9日(金)

御伽婢子  

  原作     浅井了意

  現代語訳  ぼんくらカエル

御伽婢子 第10巻

イモリの化け物・1 (御伽婢子 通算106回)

越前の国、湯尾と言うところに城跡がある。藪や薔薇が生い茂り、松は倒れ、からすの声、谷の水音などが聞こえる。

そこに、曹洞宗の僧で、塵外首座(ジンガイシュソ)とか言う者が庵を結んでいる。塵外首座とは、俗世間を離れて第1位の僧という意味である。

春は山菜を採って飢えをしのぎ、秋は木の葉を集めて薪とする。近くの村里から信者がきて、その日を送る程度の食料を置いていくこともあるが、普段は人影も稀である。

しかしながら書典を開いているときは、故人と語り合っている心地がするし、座禅を組めば、自然と一体になるようで、少しも淋しいことはない。

ある夜、禅宗の先達者たちの伝記集『伝灯録』をよんでいたとき、身長が15-6センチの人が出てきた。黒い帽子を被り、細い杖をつき、蚊の鳴くような声で、

「儂がここに出てきたというのに、まるで人がいないかのように、声もかけない。淋しいことだ」

と言う。塵外首座は修行が進んでいて、そんなことには驚きもしないで声もかけずにいると、化け物の方が怒ってしまった。

「儂が客人としてきたのに、物も言わないとは失礼ではないか」

と、机の上に飛び乗った。塵外首座は扇を取って払ったところ、小人は下に落ち、

「無礼者!狼藉の結果を思い知らせてやる」

と言って、外へ出て行った。

                           続く

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