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2009年9月 7日 (月)

昨日の続き 屏風の絵が踊る

9月7日(月)

まず、昨日の続きから。「木下航志」は「キシタコウシ」と言うのだそうです。「木下」と書いたら、普通は「キノシタ」と読むのですが「キシタ」なのだそうです。地名とか人名とか、固有名詞は漢字を見ただけでは読めなくてもしょうがないと思うことが良くあります。私の知人で「藤木」という人は「フジノキ」と言わないと機嫌が悪いのです。「フジキ」ではないのだそうです。いろいろあるんですね。間違って呼ばれることを気にする人と、あんまり気にしない人がいますね。どちらがどうとは言えませんが。

以上は余談です。余談から書き出すというのは文章の常道に反しますよね。まあ私の文章は、「アッチよろよろ」、「コッチよろよろ」ですから、数少ない読者は、つきあってください。

「子守唄」というか、「子守り」の話です。三木露風はよほどませた子で、子守りに背負われて見た「赤とんぼ」を覚えていたわけです。何かの文章で、三島由紀夫は縁側でおしめを取り替えられたのを記憶していたと読んだことがありますが、ほんとかネエ。

私は何十年も昔、暗い闇のなか、狭い空洞を泳ぐようにしながら、明るいところに出てきた夢を見たことがあります。私は勝手に、くらい産道を通って誕生したときの無意識の記憶が夢に現れたのだと思いました。しかし、あくまでも夢です。

現実に帰ります。

「竹田の子守唄」も「五木の子守歌」も子守りをする子どもたちは、現実の辛さをうたっています。昨日も書きましたが、私はそのような少女たちがいたことを、知識として知っています。私が育ったほんの少し前まで、それは現実にあったことです。

三木露風のようにませた子は、子守りを懐かしがったりするわけですが、大抵はそのもう少し後、女中に可愛がられた子供が、「女中っ子」として育ちます。女中を懐かしがる文学作品と言ったら、これはもうきりがありません。夏目漱石の「坊ちゃん」も、太宰治の「津軽」も女中が大きな位置を占めています。誰だったかなあ、女流作家だと思いますが、文字通り「女中っ子」という作品もありました。

子守りが長じて女中になった場合もあるでしょうし、子守りとは別に、女中に可愛がわれて育つという場合もあるでしょう。女中と言っても、はじめはまだ少女です。

昔は、子供が子供の面倒を見るというのが、当たり前のことでした。現にこの私が、小学2年の時、生まれて間もない弟を背負って遊んでいたのです。信じられますか? 小学2年生が赤ん坊を背負って、友達と遊ぶのですよ。鬼ごっこをしたり、隠れんぼをしたりするのです。他でもない、この私がしていたのです。

これは今まで誰にもいったことがない、はじめて明かすのですが、あるとき私は、上級生に知恵を付けられて、赤ん坊を電信柱にくくりつけて遊んだことがあります。これで、背負うのと同じだというのですね。そのせいなのかなあ、あの子が1歳のうちに死んじゃったのは。

今私は72歳。これ、一生忘れないんですね。

そのほか、私のまわりには、いくつもの悲運な死があります。そのいくつかは、私に関係があるような気がしてなりません。すぐ下の弟の死。妻の死。共に自殺。

   罪幾つ重ねて死ぬやつくつくし  ぼんくらカエル

もちろん、私と同じ環境にあって、他の人ならどうできたのだ、と言う、居直った気持ちもあるのです。でもなあ・・・。

御伽婢子・93

屏風の絵が踊る

細川右京太夫政元は足利義高公を取り立て、将軍に祭り上げ、自らは権威をほしいままにした。

あるとき、大酒を呑んで家に帰り、バタン、キュウで寝てしまったが、夜中に物音で目が覚めた。

枕元の屏風に、誰が描いたのか分からない古い絵があり、女房と少年が遊んでいる。その絵の中の女房と少年が絵から出て、手を打ち、足踏みをして、唄い、踊っている。身長は15センチばかりだ。

その歌を聴いてみると、

《世の中に、恨みは残る有明の、月に群雲春の暮れ、花に嵐は物憂きに、あらいはしすな玉水に、映る影さへ消えて行く》

月には群雲、花には嵐がある。あまり乱暴すると水に映る影も消えてしまう、とくり返して唄う。

政元は声を荒げて叱ったら、女房も少年も、元の屏風に帰った。

しかし気になって、陰陽師を呼んで占わせた。

屏風にある女の風流踊りは風に関係がある。花に嵐というのも風に関係がある。風の字にに注意しなさいと言うのが陰陽師の占いであった。

永正4年(1507年)6月、政元は精進潔斎して愛宕山に参籠し武運長久を祈った。

23日、愛宕山から下りるとき、馬が倒れて死んだ。

24日、政元は自宅で風呂に入ったところを、暴漢に襲われて死んだ。政元の事務官が敵に内通したのだという。陰陽師が風の字に関係があると言ったのは風呂のことだったのだ。

                      終わり

これで第8巻が終わりです。御伽婢子は全13巻、まだ3分の1以上が残っています。長いなあ。

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