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2009年8月20日 (木)

蝉を釣る ひげ長の国・3 

8月20日(木)

一口に釣りと言えば相手は魚だけれど、トンボ釣りなんて言葉もある。鯉釣りもあって、「出てこい出てこい陸の恋」などと言う。と、まあ、これは冗談だけれど、蝉釣りなんて、人は言いません。

でも私は子供のころ、蝉釣りをやりました。親の蝉を釣るのではなく、今夜脱皮しようとする蝉を釣るのです。

誰でも知っていることですが、蝉は6年か7年土の中で生活し、陸上に出てくると1週間くらいで死ぬんですってね。鳴くのは雄で、親になって4日目くらから鳴き出すのだそうです。雄だけ、死ぬ少し前だけ鳴くんです。それにしてはうるさいね。

  頓(ヤガテ)死ぬけしきは見えず蝉の声  

言わずと知れた芭蕉の句。

  蝉時雨命の限り声限り  

言わなきゃ知らない、ぼんくらカエルの句。

蝉の命が果てるとき、ジジと鳴いて落ちてきます。鳴かないのもいるんだろうけれど、とにかく落ちてきます。落ちたときに完全に死んでいるかと思うと、そうではなくて、触ると羽ばたいたり、鳴き声を上げたりします。まだ命のあるうちに落ちるのです。

蝉が親になる日、地上に出て脱皮しますが、その時の抜け殻は、すでに命はないのに、木の幹などにしっかり爪を立て、まるで意志があるように掴まっています。落ちる蝉とは対照的です。

地下で過ごして7年、今日地上に出ようとする蝉は、地表に向けて穴を掘ります。ありの穴くらいの大きさに、地上に穴を開けます。夜になったらそれを広げて、自分が出られるくらいの穴にして、のこのこと這い出して、樹の幹などにとりつくのです。

蝉が這い出す季節になると、大きな木のまわりにいくつもの穴があきます。直径が1センチくらいの丸い穴が沢山ある樹を探しましょう。但しその穴は、すでに蝉が這い出してしまった穴です。そんな穴の多い樹のまわりに、直径が3ミリくらいのを見つけたらしめたもの。それが今夜蝉が這い出す穴です。夕方、蝉の出る樹の傍で、その小さな穴を見つけるのです。見つけたらその穴を少し広げて木の枝を差し込んでやると、今夜脱皮しようとしている蝉が釣れるのです。

釣った蝉を枝ごと持ち帰って観察すれば、脱皮が見られるでしょう。脱皮する前の蝉に触ってはいけません。上手く脱皮できなくなったり、脱皮しても羽根が縮んだままで伸びなかったりします。経験したので知っています。脱皮した蝉ははじめは白いのですが、朝日に当たると、成虫の蝉の色になります。

老人介護施設Kへ。

御伽婢子・80

ひげ長の国・3

前回までのあらすじ 越前と北海道の間を行き来して商売をしていた商人が、難破してひげの長い人達が住んでいる国に流れ着いた。国主に気に入られ、そこお姫様と結婚し、幸せに暮らしていた。しかしある日、国主が竜王に召されて、生きて帰れぬと言う。商人は国主を助けるために竜宮に行く。そして龍神に国主の釈放を願い出る。

商人は、

「東海第3の海域、第7の島の国主を帰したまえ」

と願う。龍神は役人に調べさせて答える。

「そのような島はないぞ」

「いいえ、長ひげの国があります」

龍神は役人にもう1度調べさせた。役人は言う。

「その海域は、エビの住んでいるところです。昨日、食料にするためにエビを釣り上げました」

竜王は笑い出した。

「おまえは人間なのに、エビに騙されたのか。われわれはむやみに食料をとっているわけではない。天帝から許された物しか獲りはしない。だからそのままにしても良いのだけれど、わざわざ命乞いに来たのだから、おまえの顔も立ててやろう。料理番のと一緒に台所へ行って、見つけたらそれを放してやりなさい」

商人が料理番と共に台所に行くと、さまざまな食材の中に、ひときは立派なエビがあった。商人を見ると、跳ね、踊って、涙を流し、まるで助けてくれと言っているようであった。

商人の願いで、龍神はそのエビを放してやり、商人を龍の背中に乗せて日本に送り返した。

                         終わり

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