今日の水彩画 幽霊が武将を評する・4
7月10日(金)
水彩画の会。例によって子供のいる絵です。
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御伽婢子・49
幽霊が武将を評する・4
前回までのあらすじ 武田信玄の家臣鶴瀬安左衛門は恵林寺の境内で、いまは亡き武将たちが、大将の批評をしているのを聞いている。北條氏安の家臣、北條左衛門は武田信玄の批評をする。武田の軍師山本勘助は、上杉謙信の批評をする。上杉の家臣直江山城守は北條氏康の評、武田の家臣多田淡路守は織田信長の評をする。
そこへ群馬の箕輪の城主だった長野信濃守がやってきた。これは関東の上杉憲政の家臣で、知謀無双の者だった。武田信玄と7年にわたって戦いをくり返してきたが、最後は病気でなくなってしまった。その子右京進は城を守る器量がなくて、間もなく武田信玄に城を落とされてしまった。
信濃守は辺りを見まわし、山本勘助が上座にいるのを見て、会釈もせずに、ずかずかと勘助の上座に座った。そして刀の柄に手を掛けながら、勘助をののしった。
「勘助が上座にいるとは何事であるか。おまえはどんな手柄があって上座にいるのだ。おまえには3つの罪がある。それを知らずに世間の人は、軍師だなどとあがめている。いまそれを暴いてやる」
山本勘助は顔色も変えずに、
「ならばそれを言いなさい。ちゃんと聞いてやるぞ」
と言う。
「ああ、言うとも。若いとき、信玄は領国のことを忘れて色に溺れたことがある。その時板垣信方が良くいさめて、信玄は心を入れ替えた。そして戦に明け暮れた。信州諏訪の祝部頼重が降参して、甲府にやってきたときだ。おまえは信玄に、頼重をだまし討ちにして信州を自分のものにしなさいとすすめた。そしてあえなく降参してきたものを殺した。昔から窮鳥懐に入れば、猟師もこれを殺さずと言う。従う気持ちを示した頼重を討つとは、無慈悲な心だ。これを、戦の習いというならば、獣の心と同じと言わなければならない。
そればかりではない。頼重の娘が美人だったので、信玄は色香に迷い、その娘を妾にしたいとおまえに相談した。おまえは賛成して妾にさせた。目の前で父を殺された者を、殺した者の妾にするなどと言うことは、人の道に外れている。おまえは諫めなければならかった。
その妾の腹に、勝頼が誕生した。そして太郎義信の継母となった。利口で口先の上手な女だったので、いろいろと讒言をした。信玄は知恵のある人間であるが、色に溺れ、妾の言葉を信じて義信を殺し、義信を支持した家臣飯富兵部、その他80人あまりの侍を咎なく殺した。これも元はといえば、おまえが諫めるべき時に諫めなかったためである。
これがまず、おまえの罪の第一のものだ」
信濃守はなおも言いつのる。
続く
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