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2009年7月28日 (火)

『武士の娘』 遊女宮木野・4

7月28日(火)

私は専門もなく、雑然と本を読むので、これと言って得意な分野はない。ただ、義務教育終了程度の人間としては、興味の範囲が割合広いのではないかと思っている。残念ながら深くはない。義務教育終了程度だって、深い知識や大変な経験をしている人はいるからねえ。こちらの頭が自然に下がるような生き方をしている人って、学歴に関係なく、結構多いんだ。

読み終わった本について書こうとしたのだが、ここまで書いただけで、すでに脱線がはじまっている。ブログを読んでいる人には分からないけれど、書いている私は、はじめに書こうとしたことと違う方向に文章が進んでいることに気づいている。

はじめの方向に戻るか、このまま続けるか、面倒だからここでやめちゃうか。・・・本の紹介だけはしましょう。

その本は杉本鉞子著、大岩美代訳『武士の娘』。日本人の著書なのになんで訳者がいるのかと言えば、原作は英語で書かれたものだからです。

著者・杉本鉞子(スギモトエツコ)は明治6年、新潟長岡藩の家老の娘として生まれた。昔の家老の娘としての教養を身につけ、アメリカで貿易商をしていた杉本松雄と結婚し、日米の文化や習慣の違いにとまどいながら思索を深めていく。コロンビア大学で日本文化史を講義するなど、アメリカでも活躍した人のようである。

『武士の娘』は長岡で生まれ、アメリカで結婚し、夫に先立たれ、日本に帰り、娘の教育のため再びアメリカに渡るるまでが書かれている。7ヶ国語に訳されているという。日本という国が外国人には珍しかった時代、国粋主義でもなく、排外主義でもない立場の女性が、良識を持って書いた著書が、アメリカやヨーロッパでは人気になったのでしょう。この本、その割に日本では知られていませんね。現代ではなく、明治という時代に読まれるべき本だったのだと思います。

当時の最高の教養を身につけている著者にして、八丈島を女護ヶ島と認識している辺り、ふーんてなもんです。八丈島では女が実権を握っていて男は家事や育児をしていると思っていたようです。へんぴな地方の情報は、中央にはなかなか正確には伝わらないものなのでしょう。

御伽婢子・61

遊女宮木野・4

前回までのあらすじ 駿府の藤井静六は遊女宮木野を身請けし妻とする。京の叔父に会いに行き、戦乱にあってなかなか帰国できないでいるうち、母が亡くなり、宮木野は暴徒化した兵の魔の手から逃れるため、自殺した。その後、やっと帰ってきた静六は、宮木野の墓の前で、どうかもう一度会いたいと祈る。

こうして20日ばかり、自分の家と墓を往復して暮らした。

月はなく、星の夜、静六が灯を掲げて座っていると、宮木野が影のごとくにやってきた。

「あなたが私のことを心から念じてくれたので、あの世の役人の許可を得てやってきました」

と宮木野は、静六が京に去ってからの出来事を語った。静六は宮木野が我が母を熱心に看取ったこと、貞節を守るために自殺までしたことを知り、涙ぐんだ。

「私はもとより貧しい家のでです。遊女に身をやつし、昨日の客を送って今日の客を迎え、夜に会って明け方には別れ、名残も留めない月日を送っていました。それをあなたに迎えられ、正しい道に入ることが出来たのです。しかし、とんだ災難で死ぬようなことになりました。けれども、貞節孝行の徳により、男の子に生まれ変わることになりました。鎌倉の高座某という家に、明日男の子が生まれます。その子は誰を見ても笑いませんが、あなたを見ると笑います。それがしるしです」

それだけ言うと、宮木野は煙のように消えた。それから7日後、静六は高座某の家を訪ねた。そして赤ん坊のことを尋ねた。確かに7日前男の子が生まれたが、泣くばかりで誰を見ても笑わないという。だが静六が顔を見せると、にっこりと笑って泣きやんだ。

静六は訳を話し、その家と親戚付き合いをすることとなった。

                        終わり

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