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2009年5月 9日 (土)

竜宮の棟上げ

5月9日(土)

御伽婢子(おとぎぼうこ)

   原作 浅井了意  

   現代語訳 ぼんくらカエル

竜宮の棟上げ(その1)

滋賀県の勢多の大橋は、その頃としては最も大きな橋だった。橋の近くには、唐崎、塩津、海津などの名勝があり、琵琶湖に浮かぶ舟など、夢のように美しく見える。石山寺の鐘の音は余韻嫋々として、しなの里の蓮の花はかぐわしく、田上山の夕日は冴えわたる。夏ともなれば数限りなく蛍が飛び交い、あるいは車輪のように丸くなり、あるいは砕けてハラハラと湖面に散る。風流の心のある人は好んでこの地を訪れ、歌を詠み、言葉を尽くして賛美した。

橋の近くに、小さな祠がある。昔、俵藤太秀郷が、この辺りから竜宮へ行ったと言われていた。

永正年中(1500-1526年)、琵琶湖のほとり松本というところに、真上阿祈奈君(まがみあきなきみ)という人が住んでいた。もともと才能のある人で官職に就いていたのだが、世の中のありさまに嫌気がさして、官職を捨てて引退し、静かに世を送っていた。

ある時、いずまいを正した2人の者が来て、

「私どもは竜宮の使いです。是非訪ねていただきたく、お迎えに参りました」

という。真上は驚いて言った。

「昔は竜宮へ行く人もあったと聞くが、今は竜宮へ行く道などありはしない。無理な話です」

「いいえ、私どもがご案内いたします。門の前に馬を繋いであります。どうかその馬に乗ってください」

訝しく思いながらも真上が門に出てみると、立派な馬が繋いであった。真上を見ると、10人あまりの従者が立ち上がり、真上を馬に乗せた。先ほどの使者は先頭を走り、馬は空中を飛んで走る。足の下は、雲と煙のほかは何も見えない。

しばらくすると、馬は立派な門の前に止まった。真上は馬から下りてその門の前に立った。

                        続く

    

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