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2008年12月16日 (火)

反戦の詩

12月16日(火)

少し前のブログで、「モズが枯れ木で」というサトウハチロウの詩について書いた。その時、サトウハチロウはけして戦争に反対していたわけではないことも書いたと思う。しかし、詩の内容は、反戦である。意識の上では戦争に賛成でも、自分の体は、戦争に反対している。情緒、感情、感覚は反対なのである。鋭い詩人の感性は、意識を超える。意識というものも、結構危ないのです。

意識は海上に現れる氷山の一角に過ぎないこと、海面下にもっと大きな塊があることを最初に説いたのはフロイトだったと思いますが・・・。私は、詩人の感性は意識を超えると言いたいわけです。

意識的な反戦詩と言うことになったら、誰でも与謝野晶子の「君詩にたもうことなかれ」を思い出すのではないでしょうか。若い頃この詩を読んで、私も大いに心を打たれました。長い詩なので、全部覚えてはいませんが、このブログを書くために、読み返してみました。(ブログを書くことも、勉強になるなあ。誰ですか、今さら勉強しても先は知れているなんて言うのは。私だってそう思っていますよ)。

「君死にたもうことなかれ」は長い詩です。ここで全部を引用することは出来ませんが、特に私の心に残っていたフレーズといえば、次のようなところです。

○ 親は刀(やいば)をにぎらせて

  人を殺せと教えしや

  人を殺して死ねよとて

  二十四までを育てしや

○ すめらみことは 戦いに

  おおみずからは出でまさね

  かたみに人の血を流し

  獣(けもの)の道に死ねよとは

  死ぬるを人のほまれとは

  もとよりいかで思(おぼ)されん

同じ頃、大塚楠緒子が「お百度詣」という詩を作っています。反戦詩は沢山ありますが、これは私の好きな詩です。

○ ひとあし踏みて夫(つま)思い

  ふたあし国を思へども

  三足ふたたび夫おもふ

  女心に咎(とが)ありや

○ 朝日に匂ふ日の本の

  国は世界に只一つ

  妻と呼ばれて契りてし

  人もこの世に只ひとり

○ かくて御国と我夫と

  いづれ重しととわれなば

  ただ答えずに泣かむのみ

  お百度詣ああ咎ありや

「君死にたもうことなかれ」と同じで、ここの書くために調べましたが、心に残っていた詩です。この詩を書いた大塚楠緒子は、夏目漱石の弟子でした。漱石の女の弟子は、彼女くらいしかいなかったとも言います。本当のことは分かりませんが、漱石は彼女を好きだったと言われています。彼女は、35歳の若さで亡くなりました。その時の漱石の俳句。

  あるほどの菊抛げ入れよ棺の中

この俳句も、初めてであったときから好きでした。しかしその時は、「お百度詣」の詩人大塚楠緒子の死にさいして作ったものとは知りませんでした。

  

  

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コメント

本当にカエルさんは、博学ですね。
それと、ブログに書く、文章にする能力はさすが。
理系の私は、実験結果のレポートを書くくらいで、
文章に自分の思い、感想を表すということが苦手。
ブログの行動したことの、羅列で終わってます。

投稿: 五十路 | 2008年12月17日 (水) 10時49分

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