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2008年10月24日 (金)

自殺する人は死にたくないのだ

10月24日(金)

水彩画の会。文化祭に出す作品を決める。私の作品は、今日描いたものである。他の人はみんな上手です。私だけが写実を離れ、勝手な描き方をしています。目標は、谷内六郎、岩崎ちひろ。

ブログを書いていれば、いつかは告白することになると思っていましたが、今日それをします。

私は妻に自殺された夫です。妻は精神を病んでいました。私は妻がうつ病になったと思っていました。ただ、鬱だけでは説明できない症状があって、鬱に統合失調症(当時は精神分れる病といいました)を併発したと思っていました。

妻の死後、ボランティアを始めましたが、そのボランティアの中心は、精神障害者にかんするものです。精神科の先生に接する機会もあり、いろいろ話を伺っているうち、妻の症状は、鬱ではなくて統合失調症によるものだと理解するようになりました。

むやみに体の心配をすること、(自転車で坂道を登ったら息が切れたからどこかに異常があるのではないか)とか、被害妄想的な考えを持つ(玄関前に紙くずが落ちていれば、誰かが嫌がらせに置いていったと考えてしまう)とかいうことがありました。これが統合失調症の症状だったのです。

妻は、鬱の症状を現すようになって、やがて常識では考えられないようなことを言うようになりました。たとえば、マンションの上の階の人が夜中に縄ばしごか何かでわが家のベランダに下りてきて、窓を開けて忍び込み、テーブルの上に砂粒を置いていく、というようなことです。妻にそれを訴えられても、私がそうだそうだとは言えません。妻にしてみれば、机の上の埃か何かを見つけて、それが確とした証拠だと思っているのです。私は頭から否定してはいけないと考えて、あいまいな返事をします。そんな態度を見て、妻は「夫さえ私の言うことを信じてくれない」と孤独感を募らせます。こんな時、どう対応をすればいいのか、私はいまだに分かりません。

精神障害のかんする講習会などには、何度も行きました。講師に質問をしても、かえってくるのは一般論です。患者や患者の家族は、具体的に悩んでいるのです。本当に、これという答えはないものです。

家族に精神障害者が居ると、その家族に原因を求められることがしばしばあります。親のせいだ、夫のせいだ、愛情がたりない、虐待した・・・家族もまた、世間の目に耐えなければなりません。

統合失調症の原因は、まだ分かっていません。脳の神経伝達物質に異常があるのではないかといわれています。神経伝達物質が出過ぎるというのです。だから、出過ぎた神経伝達物質を受け取る受容器に蓋をする薬などか開発されて、ある程度の効果を上げているようです。最近は脳の発達障害があるのではという考えもあるようです。

ともあれ、妻の精神が不安定だったので、私が先に死んでしまった場合、妻がパニックになるのは分かっていました。だからそれを少しでも和らげるために、私は妻を受取人にして生命保険に入りました。しかし、妻が先になくなってしまったので、その保険の意味が無くなりました。ですから妻の葬式後すぐに、保険の解約をしました。

どうしたことか、これを、私が妻に保険をかけてそれを受け取ったと解する人が出てきたのです。保険金殺人でもしたかのようです。世間の噂なんて、そんなものです。

最後に、1つ付け加えます。自殺する人は、決して死にたいと思っているわけではありません。何とかして生きていたいのです。しかし、生きることが辛すぎて死を選ぶのです。妻が残した絵を見たりして、私はそれを感じます。生きたいと思っている妻の、生きる力になれなかったこと、それが私でした。その意味で、私が殺したようなものだ、と思うこともあります。でも、どうすれば良かったのか、今でも分かりません。

なぜこんなことを書く気になったかといえば、毎日新聞の夕刊のコラム「すたこら」を読んだせいです。野口詩織という立教大学生の「ありがとう」という記事を読んだせいである。彼女のいつもは陽気な同期生が、ミクシーの日記に「私のお父さんはもうこの世にはいません」と書いたことに衝撃を受けた記事である。

この記事を読んでまず最初に感じたのは、私は8歳で母を亡くしたこと、その後、父の行方は分からず、親戚の家で過ごしたこと、などだ。そして、妻のこと。

多くの人は、悲しみを抱えて生きている。人間を「悲しみの器」と言ったのは水上勉だったか。だからといって、深刻な顔をして生きていたってしょうがないんだよね。

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