不公平
8月29日(金)
知人のSさんは、世の中は不公平だという。
「ぼんくらカエルは好きなだけ酒を飲んで、気ままに暮らしているのに、健康だ。私は酒も控え、健康に気を配りながら生きているのに、心臓の病気になった」
と言うのである。まあ本当のところは、私だって隠れた病気はあるかも知れない。それでも、表面的には元気である。しかし、Sさんと私で、どっちが先に死ぬかとなると、これは判らない。健康そうな者の方が、先にポックリ逝くなんてことは、けっこう多いのだ。
どのみち死は免れないのだから好きな酒をやめて1年や2年長生きしてもしょうがない、と言う気持ちが私にはある。いざその場に臨んだら「しまった」なんて思うかもしれないけれど、今はそう思っている。
「おれは覚悟は出来ている」などと力む人を、私は信じない。そんな人でも、ちょっとしたことで慌てたりするのである。私は、自分も信じない。今の気持ちを言うならば「私だって覚悟は出来ている」のである。しかし、それが本物かどうかなどと言うことは、その場にならなければ判らない。
Sさんに言わせれば、「世の中は不公平で、自分は損をしている」と言うことになる。しかし他の面では、私よりかなり幸運である。義務教育を終わってすぐ働かなければならなかった私と違って、Sさんは大学まで卒業している。一流企業に勤めて、別荘まで持っている。私などは年金で、やっとどうにか食っている状態だから、私の方こそ「世の中は不公平だ」と言いたくなる。
まあ、どっちから光を当てるかですナ。何事も、光のあて方、見る角度によって違うのである。ある人の正義が、他の人の正義だとは限らない。自分の正義だけが正しいのではない。受け身で、自分は不公平な立場に立たされているなどと思ううちは無難だけれど、自分の正義を人に押しつけようとすると、物騒なことになる。
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