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2008年8月20日 (水)

細工の唐船・3

8月20日(水)

細工の唐船・3(狗波利子・通算65回)

(前回までのあらすじ・足利義教将軍が駿河の国行幸するというので、今川範政は家臣に細工物を作らせる。細工物は精巧に出来た唐船で、多くの人形が乗っており、それぞれの仕事をしている。)

目をつむっている人形は、出航の日取りを占うつもりらしい。

7,80歳に見える人形は、これから中国の港まで、海路の無事を祈っている。

管弦が始まった。美しく着飾った麗人の人形が、それぞれ楽器を持ち、笛を吹き、鉦を鳴らし、太鼓を叩く。音程をととのへ、リズムを合わせ、太平楽を奏した。美人の人形が5,60人、美しい衣装を着て、音楽に合わせて舞い踊り、すだれの内側に退いた。

こんどは100人ばかりの人形が出てきて、インドの音楽を奏し、踊った。玉のような首飾りは風に靡き、きらきらと光る。その美しさは言葉に表すことが出来ない。

およそ5,60人ほどの人形がみなそれぞれの働きをし、芸を見せた。

最後に小さい人形が1人現れ、火打ち石のようなもを取り出し、帆柱のもとで2,3度打ち付けたところ、鉄砲が破裂するような音がして、数多くの人形はみな、唐船もろともに消えてしまった。ただ、池の白波が残るのみである。

満座は大いに驚き、呆然としているばかりである。将軍は興を醒まし、その細工人を呼んだところ、彼はすでに姿をくらましていた。

これは天下に兵乱が起き、人民が滅ぶ前兆ではないか、と人々は噂した。将軍も駿河の守も眉をひそめて、外に漏らさぬように注意したので、しばらくの間は知る人もなかった。

                       終わり

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