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2008年8月11日 (月)

板垣信形天狗にあう・3

8月11日(月)

板垣信形天狗にあう・3(狗波利子・通算60回)

(前回までのあらすじ・勇敢だが思慮に欠けたところのある武田家の武将板垣信形が、羽黒山の山伏たちを酒宴でもてなす。山伏たちが見せた奇跡に感じ、息子弥二郎のために、戦の秘術の教えを請い、山伏と信形のいる部屋から竹刀の音などが聞こえてくる。)

夜も明けてきた。信形に仕える中間、若党たちが障子の隙間から覗いてみると、山伏と思ったのは人ではなかった。あるいは鼻の先が高くそばだち、あるいは口が鳥の嘴のようで、背中には翼がある。異類異形の者たちである。

これはなんとしたことだと、中間、若党たちは太刀や長刀を持って障子を開け中へはいると、10人の山伏たちはどこかに消え失せてしまった。信形は前後も知らず倒れ伏している。

せっかくの料理は少しも食わずにまわりに散らかし、酒はこぼし放題。畳の上には鳥の足跡のようなものが付いている。これは間違いなく天狗の仕業だ、と家中の者は思った。

信形はその日の夕方になってやっと目が覚めたが、しばらくはぼうっとしているばかりだった。

信形は元来気丈な者なので、こんなことは武家にはあることだ、といって平然としていた。しかし、他人には知らせず秘密にしていたが、いつの間にか漏れてしまった。

信形は勇者として名高く、戦ではいつでも手柄を上げていたため、慢心をおこし、敵を侮る気配があった。そのためにこのような妖怪にあったと思われる。

このころより信形は浮ついた気持ちになり、無分別で、軍備を怠り、怪我をしたこともある。しまいには信州上田原の戦で討ち死にをした。これも、慢心のためだという。

                          終わり

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