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2008年8月19日 (火)

細工の唐船・2

8月19日(火)

(前回のあらすじ・足利将軍が駿河の国に来るので、迎える今川範政は、もてなすための細工物を作らせる)

さて、9月になって、いよいよ将軍がやってきた。範政は丁重にもてなし、抜かりはなかった。珍しい膳、新鮮な魚、美食の限りを尽くし、夜は舞楽の宴を催した。

将軍は大いに喜び、高亭に登って、富士山をごらんになった。

    みずばいかに思いしるべきことの葉も

            およばぬ富士と兼ねて聞きしも

駿河守の返歌

    君がみむ今日のためにやむかしより

            つもりは初めし富士のしらゆき

このようにして将軍のご機嫌を伺い、頃合いを見て、細工物を持ってくるように命じた。細工人は、なにやら大きな箱を献上した。将軍が開かせてみると、長さ5-6メートル、幅1メートル半くらいの、精巧にこしらえた唐船の模型である。

昔、隋の煬帝が数千の大船を作り多くの官女と共に舞楽を愉しみ、舟歌を歌わせた。そして西国の銘木、貴花を求めさせたのは、この船のようだったろうか。龍の舳先、瑞鳥の彫り物。玉楼、金殿があざやかに浮かび上がっている。その船を、主殿の前の池に浮かべて見た。

すると、多くの人形がでて船の仕事をしながら歌をうたう。桂の櫂を蒼海にさして歌をうたう。しばらくして、日焼けした人形たちが、倒してある帆柱を、そろりそろりとくみ上げた。

                        続く

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