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2008年7月17日 (木)

男郎花・2

7月17日(木)

男郎花・2(狗波利子・通算40回)

(前回のあらすじ・越前の国朝倉家の小姓、小石弥三郎は見目かたち優れ、気だても良くて、同僚から可愛がられていた。足軽大将・州河藤蔵は弥三郎に恋文を送る)

神に懸け、命に懸けて送った恋文の誘われ、弥三郎はその夜、藤蔵と忍び会った。千年の思いを夜通し語り合い、名残の尽きぬまま、きぬぎぬの別れをした。

藤蔵の歌

     ほどもなく身にあまりぬる心地して

           おき所なき今朝の別れじ

弥三郎の返歌

     別れゆく心の底をくらべばや 

           帰るたもとととまる枕と

またいつという約束もせずに別れた。ことさら今のような物騒な世の中なので、今日は無事でも明日のことは計り知れない。今朝の別れが永遠の別れにも成りかねない。互いに涙しながらの別れであった。

まさに、次の日に戦があった。朝倉義影は軍を出して、臼井峠に向かわせた。武田方と戦ううち、州河藤蔵は討ち死にした。

弥三郎は大いに悲しみ、もはや生きる望みはないと、軍法を破り、旗本からただ一騎ぬけだし、駆けつけて討ち死にをした。

二人の屍は味方に取り返し、二人の中を知る人々によって、同じ墓の中に埋られた。

やがてその墓から、名も知らぬ草が生えてきて、夏には花が咲いた。男郎花と言って、大変珍しい花である。さだめし弥三郎と藤蔵の魂のしるしに違いない。

二人の中を知る人は、その根を分けて庭に植えたので、今はその草が多くなった。

                          終わり    

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