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2008年7月11日 (金)

今川氏眞没落・4

7月11日(金)

今川氏眞没落・附・三浦右衛門最後(狗波利子・通算35回)

(前回までのあらすじ・今川氏眞の佞臣、三浦右衛門は、主君が戦いに敗れ駿府城を捨てて落ちのびるとき、自分が助かりたい一心で、1人駆け落ちした。しかし土民、百姓のため身ぐるみ剥がれ、丸裸で小笠原与八郎に助けを求める。与八郎は、一度はかくまったものの、三浦を討ち果たすため、広庭に引き出す)

三浦は大いに驚き、

「親とも、兄とも思って頼ってきたのに、あまりに情けない行いです。せめて命ばかりはお助けを」

と頼み、涙を流す。

小笠原の家臣で足助長七というものが首き切り役人の傍により

「何とか申し開きをさせて命だけは助けてやれ」

といった。

「命を助ける代わりに、鼻をそぎ、片耳を切りをとすが、それでも命が惜しいか」

と聞くと、三浦は、

「それでも良いから命を助けてくれ」

という。

これを聞いた人々はあきれ果て、

「あんな根性だから重恩の主君をすててここまで逃げてきたのだろう。早く首をはねて、不忠不義の佞臣の懲らしめにしろ」

という。三浦右衛門は、身をよじり、声を上げて泣き伏した。

「今はこれまでだ。念仏を申せ」

といっても、前後不覚に取り乱し、首切り役人も、太刀のあてどころが定まらない。やむを得ずうつぶせに踏み倒して、首をかききった。

死体は野辺に捨てられ、鳶や鴉が目をついばみ、はらわたを千切った。犬やオオカミが手足を引き散らし、尻に食らいつく。

往き帰の人はこれを見て、哀れとも思わず、積悪の因果の報いだとささやきあう。

運に乗じて権威をふるい、竜虎の勢いだったものが、運が尽きて屍を草むらにさらし、恥を残すことこそ哀れである。

                          終わり

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