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2008年7月20日 (日)

毛虫祟りをなす

7月20日(日)

毛虫祟りをなす(狗波利子・通算43回)

   原作・浅野了意  現代語訳・ぼんくらカエル

元和年中(1615-1624年)だったろうか。西国の侍、柳岡甚五郎某という者、大友氏の中で、羽振りを利かしていた。しかし、戦で怪我をし、体は自由にならず、苦しみ、困って、山城の里に住んでいた。

孫四郎という子供があり、まだ12歳だったけれども、大人びていて、同じ年頃の子供と一緒に遊ぶようなことはなかった。もの静かで、字を書き、書を読むことを好んだ。さらに、下品なところは少しもなかった。

彼を知る人たちは、皆、すごい少年だと褒めそやしていた。しかも姿形は麗しく、衆に優れていた。長ずれば、身を立て、家を興すであろうと、親は期待していた。

元興寺の僧、宥快と言う法師、京に登る途中で山城の知人を訪ねたところ、ひとめ孫四郎を見て、心を奪われてしまった。京に上ることも忘れ、つてを求めて手紙を送った。

  江南柳窕緑 江南の柳たおやかにして緑なり

  尚愛枝葉陰 なお哀れむ枝葉の陰を

  頻莅黄鶯翼 しきりにのぞむ黄鶯の翼    

  暫堪待春深 しばらく堪えて春の深きを待つ

    葉をわかみまだふしなれぬくれ竹の

           このよをまつは程ぞ久しき

このような手紙をもらい、孫四郎は宥快の思いを感ずるものの、返事の書きようも知らず、手紙を懐に隠したまま、

    おなじ世にいきて待とは聞きながら

           こころづくしのほどぞはるけき

と詠った。

宥快はこの歌を伝え聞き、学道修行は忘れて、寺を出て山城の里に通いつめ、人の目も気にせず、辺りを忍び歩いた。

                      続く

    

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