« 地震、他  甲府の亡霊・2 | トップページ | 特殊法人の無駄遣い 大内義隆の歌 »

2008年6月15日 (日)

いろいろ  隅田宮内卿の怪異

6月15日(日)

Mizutani10009 地震の死者が増えている。被害に遭われた方々、お見舞い申し上げます。

良い天気で、やることはないしで、入間川河川敷の散歩。とは言っても、暑くて、そうそうに帰って来ちゃった。

絵は、河川敷で描いた物ではありません。新聞の写真からです。

『狗波利子』今書いているのは第3巻。1巻はつまらなかったけれど、2巻、3巻と進むに従って、興味が持てるようになってきた。仏教説話的なめんはあるけれど、説教臭が抜けてきている。まだしっくりしないところもあるけれど・・・。たとえば男尊女卑、なお残る出家至上の思想。仏に拝めば、長い間あくどいことをした人でも救われちゃうような話。

隅田宮内卿の怪異(狗波利子・通算27回)

   原作・浅井了意  現代語訳・ぼんくらカエル

人の家が没落するときは、必ず不思議なことが起こるという。しかし、気にしないでいると、それとは分からないこともある。後になって、あれがそうだったか、と思い当たったりするのである。

村上義清の家臣、隅田宮内卿は武勇に優れた者として知られていた。武田信玄が大勢を引き連れて、信濃の国小県戸石の城に押し寄せて戦を仕掛けたとき、信玄秘蔵の侍大将、甘利備前守を討ち取ったのは隅田宮内卿である。

それほど武勇に優れていたが、運に見放されると、やることなすこと、思い通りに行かなくなる。このような状態ではいつまで生きていったところで、立身出世も出来はしないとふさぎ込んでいた。時には仮病を使って、屋敷に籠もったりもした。

すると屋敷の中に怪しい化け物が出てくるようになった。その化け物、声は聞こえるのだが姿は現さない。朝夕には、人並みに食事を持ってこさせ、いつの間にか食べてしまう。

使用人が宮内卿の噂をすれば、空から声がして、

「おまえたちは主人の悪口を言うな。宮内に言いつけて、首にさせるぞ」

と脅す。寝物語で化け物の話しをすれば、

「わしの悪口を言えば、この家のためにならないぞ」

と、だみ声で怒鳴る。

毎日使っている道具類や着るものが、訳もなく消え失せて、どこをさがしても出てこないのに、ふっと目の前に現れたりする。

家中の者がうんざりして、山伏を頼んで祈祷をさせた。お札を貼れば片っ端から剥がし、お供物を盛って神仏に供えれば、引きずりおろす始末である。山伏が怒って、角張った数珠をもみ、呪文を唱えれば、その手を離れなくする。山伏は、ほうほうの態で帰ってしまった。

神子を頼んで神霊を呼び寄せる梓弓に懸けて正体を知ろうとしたが、名乗ることもなく、弓の弦を打ち切り、空からはせせら笑う声が聞こえた。

神楽を奏して神意を問おうとしたが、そのものの背中に木枕を差し込んでいたずらをする。

神主を呼んで祝詞を唱え、御弊を振って祈ったところ、家の梁の上から声がした。

「お前たちは儂をうるさがり、いろいろな者を呼び寄せて祈祷をするとは何事だ。そんなことをするなら、この家を挽き崩すぞ」

といって、梁の上からノコギリを挽く音がした。その音が夜になると、ますます激しくなる。あまりのことに灯りをつけて棟木の当たりを見ようとしたら、その火を吹き消してしまう。家中の者が外に出て、みんなで灯りをつけて見たところ、棟木には別段の変化がなかった。

妖怪は、おもしろがって笑っている。

高僧を頼んで、経を読みながら、ニラやニンニクなど臭みのある物を家の外に出したところ、化け物はやっと静かになった。

これは家が滅びる前兆だったのだろう。

その後宮内卿は浮ついた気持ちで戦に出て、笛吹峠で討ち死にした。隅田の家はそれで絶えた。

                           終わり。

|

« 地震、他  甲府の亡霊・2 | トップページ | 特殊法人の無駄遣い 大内義隆の歌 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/118203/21642618

この記事へのトラックバック一覧です: いろいろ  隅田宮内卿の怪異:

« 地震、他  甲府の亡霊・2 | トップページ | 特殊法人の無駄遣い 大内義隆の歌 »