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2008年6月29日 (日)

無題  塚中の契り・2

6月29日(日)

無題(ぼんくら日記)

一日中雨で、買い物以外はどこにも出ませんでした。

Mizutani10009 女流棋士、梅沢ゆかりのスケッチ。

NHKテレビで対局中の姿。

実力ばかりでなく、囲碁界のアイドルだそうです。実物はもっときれいです。

手を顔のあてて考え込む癖があるようです。

塚中の契り・2(狗波利子・通算27回)

(前回のあらすじ。浅原平六は早世した弟の娘を育てたが、年頃になって、娘は亡くなってしまった。隣に、父に死に別れた筒岡権七という者がいたが、行方不明になった。その母は権七をさがして墓の辺りに来る)

たまたま雪が降って、辺りは真っ白である。新しい女の墓に、黒い袖が土からはみ出しているのが見えた。引き出してみると、土の底から権七の声が聞こえた。

「人の逢い引きをじゃまするのは誰だ」

人を頼んで墓を掘り出せば、どこから入ったのか、権七は女と二人で棺の中に寝ていた。女の屍は、まるで生きているようであった。寝ている下に、慶弔用の用紙に書かれた歌があった。女手で、

   流れてのうき名もらすな草がくれ

          結びし水の下さわぐとも

   独りねをならわぬ身にはあらねども

          君帰りにし床ぞさびしき

また、権七が書いたと思われる歌、

   契るてふ心のねより思いそむ

          軒の忍の茂りゆく袖

   笛による男鹿もさぞな身にかえて

          思い絶えせぬ習い成るらん

この歌も携えて家に帰ったけれども、権七は、正体もなくただぼうっとしている。

山伏を頼んで、祈ってもらったら、しばらくして元のようになった。

半年ばかり過ぎた頃、召し使っている下女に、女の亡霊がとりついた。下女は、あらぬ事を口走る。

「ああ恨めしい。隠していたことが現れて、浮き名がもれたことが恥ずかしい。前世で縁があったために、契りを交わした。それなのにもう、水が流れるように私のことを忘れた人に、もう一度契るわけがある」

といって涙を流した。

その夜権七は、急死した。

人々は、女の亡魂と二世を契る約束があったのであろうと、同じ墓に埋葬した。

                            終わり

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