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2008年6月30日 (月)

統計の数字  霞谷の化け物

6月30日(月)

統計について(ぼんくら日記)

書くことはチンケなのに、題名は大きいねえ。

子供がまだ小さい頃、S厄よけ大師から厄よけをするようにというハガキが何度も来た。文面を見ると、大人も子供も含めて、何とかの厄とかいうのが沢山あって、しかもそれに、本厄、前厄、後厄があるのである。そして、交通事故にあう人の約3割は、厄年の人ですと書いてあった。

当たり前だろう、むやみに厄年を作って、前厄後厄を含めれば、人生の3割くらいには成るサ。あほらしいから、そのハガキを、受け取り拒否で送り返してやった。

男の厄年の最たるものは42歳らしい。「死に」という言葉からの連想だろうけれども、いかにも科学的なように、その頃に体の変化が現れる、さまざまな病気も、その頃から起こる、などと説明される。まあ、そうでしょうよ。体だって、歳と共に変化する。ただし、42歳だけが特別というはずもない。もしも42歳が特別ならば、その年だけ死亡率が高いとか、癌の発生率が高いとかの統計が出るはずである。厄年が体の変化の歳だと主張する人たちが、そのような統計を見つけたら、飛びつくはずである。でも、そんな統計が出ないところを見ると、42歳前後が特に他の年齢とは違うという統計はないんでしょうね。

もっとも、統計というのも、当てにならないんだよね。先日テレビで、日本人の塩の摂取量が多すぎるという統計が、紹介された。確かに、他の先進国よりも多かった。だから塩をとりすぎてはいけないというのである。なるほど、この統計自体は正しいのでしょう。だけど、この統計は、逆の目的に使うことも出来る。日本人は、塩の摂取量が多いし、世界一長寿である。だから、塩は多めに取るのが良い。このような結論だって出せる。統計も使いようだ。

統計は有効だが、その数字の使い方には注意を要する。統計学なんか知らない私たちは、数字にだまされないようにしなくてはいけない。

霞谷の化け物(狗波利子・通算37回)

伏見稲荷の北に小さな橋がある。世間の人は、朽木橋と呼んでいる。

その橋の麓に、喜衛門という百姓が長年住んでいた。その喜衛門が、藤森に住む知人のところに、麻の種をもらいに行った。

酒を振る舞われて帰る頃には、すでに日が暮れていた。酔っていたものだから、裏道から帰ろうなどと思って、野中の道を、鼻歌を歌いながら帰った。

気がつくと、前の方に、手燭にロウソクを立てた二人の大男が見える。変な奴がいるなあ、と思って近づいて行くと、二人は身の丈3メートルに近い法師である。とは言うものの、法師の衣も着ていないし、数珠も持っていない。独りは藍の小袖を着ている。もう独りは、その頃流行の短めの小袖を着、脛を大きく出している。

喜衛門を見て、

「怪しい奴だ。鋤を担いでいるところを見ると、百姓だな。夜、この道を通るものは、たやすく通すわけにはいかない。こっちへ来い」

と、喜衛門の腕をとり、引きたてていった。何しろ3メートル近い大男である。力も強い。声を立てたところで、人影もない。そのまま山に入り、霞谷まで引きずられてきた。

喜衛門はそこの洞窟に放り込まれ、二人の法師は、入り口で見張っている。どうしようもない。人影は見えないし、逃げようとすれば、奥に追い返される。三日二夜、ものを食わず、洞の奥にうずくまっていた。

二人の法師も疲れたのだろう、居眠りをはじめたので、鋤を持って洞からで出た。その際、鋤で二人をなぎ倒し、一目散に走って家に帰った。そして、布団を被ってふるえていた。

じつは、喜衛門がいなくなったので、近所の人が集まり、探しに行こうとしていたのである。そのため、喜衛門の枕元で、どうしたのか尋ねたが、恐ろしさのせいか、喜衛門は何も答えなかった。

朝になって、喜衛門はようやく口を開き、自分の経験を語った。

血気にはやる若い者が10人ばかり、弓や、ちぎり(木の棒で出来た武器、中央が細く、両端が太い)、錆槍を持って、霞み谷に行った。

洞の入り口に行ってみると、30センチくらいのヒキガエルと亀が、鋤の傷を見せながら死んでいた。このものたちが化けていたのであろう。

その後は何事もなかった。

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