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2008年6月 4日 (水)

テレビの人物  形見の山吹

6月4日(水)

テレビの人物スケッチ

テレビ番組からの人物スケッチ。しょっちゅう動いて同じ向きになってくれないから、難しいけれどね。

Mizutani10010 右が、作家の柳美里

左は、作家、故色川武大の奥さん。

NHKの対談番組から。

メモ用紙2枚に描いたのを並べてみたけれど、顔の大きさなど、違いましたね。

形見の山吹(狗波利子 通算20回)

    原作・浅井了意  現代語訳・ぼんくらビッキ

(実は少し困っています。原作にある和歌などは訳さないつもりですが、「形見の山吹」では、全く触れないというわけにはいきません。和歌を訳さないのは、その力がないからで、その禁を破るのは気の重いことです。逐語訳あり、意訳あり、珍訳あり、誤訳あり、なんでもありだから、まあいいことにしますか。)

都の南、泉河のあたりに、菅野喜内と言う風流人がいた。

文禄の頃である。春も末になり、散る花の名残を惜しんで、家を出た。どこかに散り残った花でもありはしないか、行き慣れぬ山にでも行けば、青葉の中に遅咲きの桜などがありはしないか、そんな桜があったら、見たいものだと思って、瓶の原(ミカノハラ)鹿瀬山(カセヤマ)あたりを歩いた。

    都出てけふみかの原泉河

          川風寒し衣かせ山

などという古歌を思い出したりして、木津の里まで来た。ある家の前を通ると、年の頃なら17・8の女が、すだれの間から顔を覗かせているのを見て、その美しさに心を奪われてしまった。

昔、女三宮が飼っていた猫の綱にひかれて、御簾の陰から覗いたのを見て、柏木が見初め、互いに心を通わせた。

それも、このような状態だったのだろう。家の様子は古びているけれども、何となく品があった。喜内はその女を見てから、心は乱れ、魂も奪われてしまった。それで、近くの家に立ち寄り、

「あそこの、軒端の古びた家は、どなたが住んでいるのでしょうか」

と聞いた。その家の主は答える。

「大内義高の家来、高梨三郎左衛門という人の家でしたが、お亡くなりになりました。残された奥様と娘さんが、少女の召使いと共に、ひっそりと住んでおります。お気の毒なことです。」

「その娘さんのお名前は?」

「弥子といって、今年18歳になります」

「実は私、その弥子さんを一目見ただけで、すっかり思い乱れています。せめてこの思いを弥子さんに伝えていただけないでしょうか。仲を取り持っていただいたら、これに勝るご恩はありません」

そばで聞いていた主の妻が、

「それならばお便りをお書きなさい。私が届けて差し上げましょう」

という。喜内は嬉しくなり、肌に着ていた小袖の襟をほどき、歌を書いた。なかなか言葉が見つからなくて、次のような歌になった。

    君にかく恋そめしがと知らせばや

               心に忍ぶもじずりの跡

                        続く

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