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2008年5月18日 (日)

ほりかねの井  足柄山 2

5月18日(日)

ほりかねの井(ぼんくら日記)

車椅子と仲間の会。

今日の会場は狭山博物館。博物館長高橋さんから、狭山の歴史講座を受ける。と言っても、2時間だけの講義だから、大まかな歴史である。

その中で、ほりかねの井については、かなりの時間を割いた。

高橋さんは下の絵のような形に掘り下げられた井戸の総称を、「ほりかねの井」Mizutani10009 だとしている。私はちょっと異論がある。しかし、人の住んでいないところになぜ井戸を掘るのか疑問に思っていたが、高橋さんの話を聞いて、納得できるところもあった。

平安時代には行き倒れをれの人を救うために、街道筋に多少の施設が作られていたらしい。そんな中に、水の不自由な場所に井戸を掘ったことは考えられる。高橋さんの言うように「道沿いの井」はあってもおかしくない。記録では、狭山市の「七曲の井」などは、何回も掘り返されているらしい。人が住んでいて、日常使われている井戸ならば、掘り返さなければならないほどなおざりにされることはないはずだ。「道沿いの井」ならば、それも考えられる。

上の絵のような井戸の総称を「ほりかねの井」とすることへの疑問の一つをあげておく。鎌倉時代、大納言源雅忠の女(当時の女の人は、固有名詞が分からない人が多い)の『とわずがたり』に、

   ほりかねの井は跡形もなくて、ただかれたる木の一つ

   残りたるばかりなり

とある。『とわずがたり』はきわめて写実的で、当時の風俗、人情を知る上で貴重な資料だという。この書き方は、特定の井戸を指していると考えられるがどうだろうか。

足柄山 2(狗波利子3)

(前回のあらすじー由井源藏、神原四郎、藤山藤治、浦安又五郎の4人は、仙人の修行をするため足柄山に入り、3年過ごした。しかしこれという成果もなく、由井源藏1人を残し、3人は故郷に帰り出世をした。その3人がみすぼらしい身なりの由井源藏に再会し、援助をしようと申し出る)

由井源藏はうち笑って、言った。

「君たちは出世をし、私はごらんの通りだ。しかし、魚や鳥でさえ自分の心にかなった生き方をしている。私も、必要なものくらいは何とかなっている。この山の向こうに私の住まいがある。むさ苦しいところだけれども、案内しましょう」

源藏は3人を連れ、三保の岬から足柄山に向かい、峰を越え、谷をわたった。

やがて、桃や桜の林に辿り着くと、見なれない門がある。門の中は茨や茅が生い茂っていて、道らしい道もない。100㍍ばかりも進むと大きく立派な楼閣があった。玉で甍を葺き、虹で梁をつくっている。道の傍らには緑の竹がほどよい高さに生え、青葉の間には白い雲が浮いている。風が吹けば小枝の葉ずれの音がさわやかに聞こえる。

楼門の内には見慣れぬ木の花や名も知らぬ草花が、深緑、浅紫、あるいは赤く、あるいは白く、咲き競っている。まわり中かぐわしく匂い、まるで人間世界ではないようだ。魂はさわやかに、心はうきうきとして、雲に登るようだ。

中に入って庭を見渡せば、木々の梢には五色の鳥が飛び交い、さえずっている。とてもこの世のものとは思えない。まるで極楽のクジャクが鳴いているようである。

池の中の清らかな水には、金銀の鱗を持つ魚が浮き沈みして泳ぎ回り、庭木には、10センチもあろうかという大きな赤い栗、緑のナツメなどがなっている。

敷き渡した白砂の間に、ほどよく配置された岩が立ち並び、岩の間からはさわやかな音を立てて、水が流れ出している。

感心して見ていると、髪を中国風に束ねた童子が二人出てきて、3人を書院に案内した。書院の飾り棚には、琴(キン、七弦の琴)、瑟(シツ、大琴24弦くらい)、笛、折りたたみ式の箏(日本の琴、ただし現在は折りたたみ式はない)が置かれている。また、香炉、香合、西湖の壺が美しい錦に包まれ、深紅の紐で結ばれていた。

背もたれのある豪華な椅子には豹の皮がかけられ、中国の絵が描かれた三幅一対の屏風が床に立てられている。

しばらくすると、いかにも気品のある姿で由井源藏が現れ、3人に礼儀正しく挨拶をした。

「皆様はこんなにも騒がしい世の中で、主君に使え、心の安まるいとまもないでしょう。生臭く汚らわしい食物を取り、欲望の炎に身を焦がし、憂いごとで心を悩ましながら、この年月を送られた。さぞや苦しいことでしょう。しばらくここで心を慰め、憂さを晴らしてください」

3人はその不思議さに驚き、言葉もなく、ただ頷くばかりであった。

すぐに、童子4人が出てきて、それぞれの前に山海の珍味を揃えた食膳をすえた。

                            続く

食膳は「山海の珍味」としたけれども、原文では、オランウータンの唇、熊の掌、鹿の胎児、子鹿の吸い物、などが出てくる。迷ったが、カットすることにした。熊の掌はまだしも、ほかはちょっとね。(ぼんくらカエル)

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