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2007年5月27日 (日)

影隠し地蔵縁起 3

5月27日

影隠し地蔵縁起 3 ーー風は見ていた

源爺の話 2

源吉が家を出て、2日ほど歩いたところで、どうやら旅の者が言っていたらしい土地に着いた。瘤が二つある山があって、大きな川があって、野原がある。川は大きいが、浅瀬があって、向こう側に渡ることが出来るようだ。

源吉は川岸の小高い丘に登って、野原の方を見た。やわらかい風が心地よく吹いている。まわりの木々は、芽吹いたばかりの若葉を、穏やかな空の下で、静かにゆらしている。まもなく夕焼けがはじまるのだろうか、山際の空が、ほんのり赤い。

辺りを見まわすと、向こうの林の麓から、細い煙が上がっているのが見えた。よく見ると、どうやら小屋があるらしい。食事の支度をする煙だろうか。旅の者の話では、まだ誰も住んでいないと云うことだったけれども、もう誰かが住んでいるのかもしれない。源吉は、少しホッとしたような、いくらかがっかりしたような気分になって、取りあえず、その小屋まで行ってみることにした。

原っぱと林の堺の辺りに、小屋はあった。

「誰かいるだか?」

中を覗くようにして、源吉は声をかけた。狭い小屋だ。中を覗けば、人は隠れようもないのだが、明るい陽射しの中を歩いて来て、いきなり暗い小屋を覗いたものだから、中の様子はよく分からなかった。

「はい」

びっくりしたような顔をして、若い男が出てきた。続いて、若い女が顔を出した。

「あんたら、ここに住んでいるだか?」

無遠慮に源吉は聞いた。

「そうですが、あなたは?」

若い男穏やかに問い返す。

「おらはここに家を建てて、住もうと思ってきただ」

「そうですか。それなら小屋の中で話しましょう」

若い男は春光と名乗り、女はせつ子と名乗った。若い夫婦は、去年の秋からここに二人で住んでいるのだという。この二人は、どことなく上品な雰囲気があると春光は思った。

源吉はその晩は、その小屋に泊めてもらった。春光は、京の都で仏像を作る仕事をしていたと話してくれた。しかし、それ以上のことはあまり話したがらなかった。

次の日から、三人の共同生活がはじまった。

まず源吉の小屋作りである。源吉たちは、鉈で木を切り、藤や葛の蔓で、その木を結わえて組み合わせ、柱や梁とした。源吉は、あらっぽくどんどん仕事を進めるが、春光の仕事はゆっくりしていた。その代わり、よく細かなことに気がついて、仕上がりがきれいだった。また、去年せつ子と協力して小屋を作っているだけに、要領をのみこんでいるような所もあった。

やがて、丸太を結わえて柱や梁にし、茅を刈って屋根や壁にした簡単な小屋ができあがった。春光のおかげで源吉の小屋は、屋根の傾斜や明かり取り、竈の煙だしなども、いきなり作ったにしては、まずまずの仕上がりになった。

源吉の小屋作りが終わると、こんどは畑の開墾である。

その日その日の食べ物を手に入れながらの開墾なので、なかなか大変である。幸いこの辺りは、山菜が豊富だった、二瘤山はもちろんだが、あえて川を渡るまでもなく、まわりの小高い丘へ行けば、季節の山菜が思うように穫れた。麓の川にも、魚が多かった。三人は、ときには耕し、ときには山や川に食料を取りに行った。そして山菜も魚も、余ったものは乾かしたり。薫製にしたりして保存した。

源吉にとっても、春光やせつ子にとっても、お互いに相手があると言うことが、なによりも心強かった。

とにもかくにも、源吉の持ってきた種を、早く蒔かなければならなかったので、三人はまず二つの小屋のまわりから畑を作ることにした。小屋のまわりには木がたくさん生えている。源吉たちは、木の少ない、野原側を畑にしていった。野原とは言っても、まばらに木は生えている。貧しい道具では、一本の木を切り倒すのも容易ではない。鉈で切れるくらいの木ならばいいのだが、、直径二〇センチくらいもあろうものなら、切り倒して根を掘りあげるとなると、それだけでも一日では出来ないくらいだ。だから、大きな木はそのまま残した。

そうして出来た畑に、そばの種を蒔き、里芋を植えたのである。

                                                 終わり

ぼんくら日記

ボランティア連絡会のバザー。われわれのグループは、今日のバザーで一年間の活動資金を作る。それなりに大切なバザーである。しかし最近はこの手のものが増えて、ちょっとやそっとでは売れないのである。古着などは二束三文でも買っていってくれない。新品で、良いもので、安くなければ駄目なのだ。

家政大でも学園祭をやっているのだが、とうとうそちらは行けず終い。

私が毎日読んでいるブログ、きっこの日記が二日続けて開けない。政府や自民党にはありがたくないことが書いてあるブログだが、ひょっとして、それで障害があるのだろうか。あの程度のことでそんなことがあるのだとしたら、この国はすでに、かなり危ないところに来ていると思わざるをえない。

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