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2007年5月29日 (火)

影隠し地蔵縁起 5

5月29日

影隠し地蔵縁起 5 ーー風は見ていた

源吉の話 4

おしげが加わったことで活気づいたのは、源吉ばかりではなかった。せつ子にとっても、女同士の話し相手が出来たのである。さまざまな作業も、これまでよりはかどるようになった。おしげは、何事にも積極的で明るい性格だった。だからこそ、女一人で源吉を訪ねてきたのである。春光やせつ子は、どちらかと言えば農作業になれないところがあったが、おしげは源吉に負けないほど、農作業を熟知していた。慣れないとは言っても、春光もせつ子も、源吉たちに負担をかけないようにと一心に働いたので、二つの家族は、心から信頼できる隣人となっていった。ときには、男同士で魚捕りに行くこともあれば、女同士で山菜採りに行くこともあった。

ある時、春光が言った。

「源吉さん、夫婦が二組出来たんだ。村の始まりだよ。ここに人が住んでいると分かれば、これからやってくる人もいるに違いない。だんだん人も増えるだろう。私はこの村の守りに、お地蔵様を造ろうと思うのだがどうだろう」

「それはいい考えだ。仏師の春光さんなら、きっとよいお地蔵さんができるだんべ」

「それで、明日、地蔵にする木を探しに行きたいんだが、一緒に行ってくれませんか」

「いいですとも」

「じつは、この前から目をつけている木があるんです。太い木なので、一人で切り出すのな難しいんです。手伝ってください」

相談はすぐにまとまり、次の日、二人は連れだって森に入っていった。しばらく藪こぎをしてから、春光は一本の木の前に立ち止まった。一抱えもありそうな、かなりの大木である。

「この木なんですよ」

「クスノキかや」

「そうです。この辺りは、クスノキは少ないんです。クスノキは、彫刻にはいい木なんです。だからこの木がいいと思うんです。だけど、倒すのは大変そうだ」

「春光さんがこれがいいというのであれば、この木を倒すべえ。大変だども、鉈もあることだし、二人で力を合わせればなんとかなるだ」

                                                続く

ぼんくら日記

Tさん、Hさんと、東京江戸博物館へ行く。Hさんが東京都俳句人連盟の俳句大会に応募して、特選をもらったので、その俳句大会に出席するためである。例によって、運転はTさん。

Hさんは各地の俳句大会などによく応募し、また、よく入選する。確かに俳句は上手い。

大会の運営は、あまり手際よいとは言えなかった。大会は、10時半から16時15分まで。入賞者表彰、講演、互選、など。講師として、山崎千枝子、小島千架子、坊城俊樹。

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